六百六十一話 月桃が咲く頃

ようやく海辺の家への引越と片付けを終えた。
まだ、各種手続やら何やらは残っているものの日常は戻りつつある。
この二ヶ月ほどできるだけ庭は見ないようにしてきた。
庭仕事をやる余裕も気力もなかったから。
途中、Garden Gypsy 橋口君と高知在住の Surfer が多肉植物用の石を積みに来てくれたけど。
積み終えるだけ積み終えたら帰っていった。

なので、二ヶ月ほど庭はほったらかし。
この時期二〇日以上放置すると、葉は茂り、雑草は蔓延り、もはや庭とは云えない有様となる。
今朝、庭に出てその有様を目の当たりにした嫁が。
「ヤバくない?」
「あぁ、ヤバイな」
「どうすんの? Gypsy 呼ぶ?」
「いや、奴も忙しそうだから、ボチボチと俺がやるわ」
「この暑さの中? 死んじゃうかもね」
どこから手をつけたものか? 思案しつつ眺めていると、塀際に見慣れぬ白いモノが眼に入った。
「えっ? これって、月桃の花? 遂に咲いた?」
「嘘でしょ? マジでぇ! 咲くんだぁ、これ!」
花の蕾が桃のように見えることから、漢名で “ 月桃 ” という。
台湾や印度原産の熱帯植物らしい。
日本では、沖縄で自生しており生活に密着した生姜科の薬用 Herb として広く知られている。
もう三、四年前になるかもしれない。
“ 月桃 ” という名の響きに惹かれて、沖縄から取り寄せて植えてみた。
現地では道端に自生する土着植物なので気にも留められないが、本州で育つ保証はなかった。
何年経っても葉だけが広がって咲く気配すらなかったし、花への期待も薄れていたのだが。
本日、こうしてお初にお目にかかれた。
琉球の五月。
島の人達は、月桃の蕾で梅雨入りを知ると聞く。
やはり、本州では数ヶ月遅れて咲くのだろうか?
それにしても、庭に花が少なくなるこの時期によくこうして咲いてくれたものだ。

ありがとうございます! 引越早々の月桃、縁起も良いわぁ!

 

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