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六百五十七話 German Iris

すっかりご無沙汰してます。 今年は、正月もなく、花見の宴も開かず、おとなしく毎日を暮らしています。 先日、海辺の庭の “ German Iris ” が蕾をつけた。 嫁が庭でもっとも大切にしている新種の Iris で、毎年咲くのを楽しみにしている。 その貴重な一本が無惨な姿に。 蕾をつけた茎は真ん中から折られ、芝生に転がっていた。 おそらく犯人は、顔見知りの野良猫なんだろうけど、よりにもよってこれを狙うとは。 まったく命知らずの暴挙にでたもんだ。 見つけた嫁は、もう怒髪天。 「なんてことを!どういうつもり?アイツ絶対に許さない!」 まだアイツと決まったわけでもないのだが、一旦アイツとなったらもうどうにもならない。 顔見知りのまぁまぁ可愛い顔をした野良猫を出禁にし、折れた Iris を拾って台所に。 Grappa の空瓶に水をはり茎をさして、開花させるつもりらしい。 「この状態じゃぁさすがに咲かないんじゃないの?」 「いや、わたし負けないから!」 もはや、Iris はわたしに、問題は勝ち負けになったようだ。 その後、水を換え適度な日当たりで世話してると、三日目に見事に咲いた。 「良かったよなぁ、なんとか咲いて」 「うん、それにしてもアイツ!」 咲いたからといって、許されるものではないらしい。

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