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カテゴリー別アーカイブ: 食
六百八十九話 海街 BURGER
Hamburger を食べたくなったら此処と決めている店屋がある。 駅舎の南階段を降りた目の前、砂浜にポツンと一軒建っている Hamburger Bar 。 “ Grateful’s ” 厨房に立っているのは、印度人と日本人。 客はというと、近隣に暮らす外国人達にも人気で、いつも半数くらいの席を占めている。 欧米、印度、中国、台湾、韓国や、どっかしら国からやってきたのだろう。 線路北側には Marist Brothers International School が在って、 学生達の姿も。 彼等の人種もさまざまで、Slang だらけの英語に時折神戸弁や広東語が飛び交う。 この界隈独特の Local Community 言語だ。 ちょっとした Chaos で、かつてこの地が居留地だった日の名残りかもしれない。 さて、肝心の Hamburger だが。 この店屋の一日は、 毎朝 Buns を店内で焼くことから始まる。 肉も塊で仕入れ、自らの手で挽いて Patty へと加工していく。 四種類ある Sauce は、一から手作り。 野菜もとびきり新鮮で申し分ない。 どれを注文しても間違いないのだが、僕はこの … 続きを読む
Category : 食
六百八十七話 七草粥
七日に七草粥を喰うと、無病息災・健康長寿の願いが叶う。 ほんとかどうかは、知らんけど。 値の張る Supplement は服用しないが、こういう安上がりの決まり事はとりあえずやっておく。 だから、冬至の柚子湯にも毎年入ったりもする。 芹・薺・五行・繁縷・仏座・菘・蘿蔔といった春の七草。 このうち庭で五種類くらいは採れるのだが、味・食感とも最悪で食えたもんじゃない。 なので、八百屋でちゃんとした草を揃えて買うことにしている。 炊き終えた七草粥を食籠によそって、縁側ですこし冷ます。 粥だけでは味気ないので、醤油をつけて炙った奥出雲の蕎麦餅を中に落として喰う。 こんな草粥が、思いのほか旨いから不思議だ。
Category : 食
六百八十六話 偽りの一皿
忌明けの正月も三日がすぎて、新年の四日。 用意した御節料理もそろそろ尽きてきた。 我が家の祝膳。 口取り・焼き物・酢の物などは料理屋に注文する。 今年は、東門街で営む人気の Bistro “ HEEK ” にお願いした。 毎年決まった店屋というわけでなく、年によっては中華料理屋だったりもする。 ただ他はそれで良いのだが、大好物の煮〆だけは他人任せというわけにはいかない。 僕的には、煮〆さえあれば正月を迎えられるというほどだ。 筑前煮みたいな柔らかな食感は駄目で、充分な歯応えが欲しい。 箸上げがしづらいくらいに、ごろっと大きく。 具材それぞれの味が活きるように、できるだけ煮出しは薄味で。 蓮根・里芋・筍・椎茸・人参・蒟蒻・牛蒡の七種を、別々に煮る。 毎年、厨に立つ嫁にしてみれば。 “ じゃぁ、あんたが作ってみろよ!” となるのだが、機嫌を取りつつなんとかありついている。 そして、我が家の祝膳にはもうひとつ他家にはない決まり事があって。 それは、膳のどこかに偽りの一皿を仕込む事。 蟹のように見える蟹蒲鉾的な感じと思ってもらえれば良い。 嫁、渾身の Marine de saumon 。 これのどこが偽りなのか? Caviar に見立てた “ とんぶり ” かと思うかもしれないけれど違います。 これは、正真正銘の蝶鮫の卵です。 偽りは、そもそも Marine de saumon ではなくて、ただの … 続きを読む
Category : 食
六百八十話 THIS IS THE “ L’évo ” 後編
先に断っておくが、僕は美食家ではないし食通でもない。 ただの早食いで大飯食いのおとこだ。 よって希代の料理人による創作皿を評するほどの知識も舌も持ちあわせていない。 それを承知でご一読ください。 午後七時美食への扉が開かれて Dining room へと通される。 まず驚いたのは、磨きぬかれた厨房の全面が客の眼に晒されていること。 料理の裏側は決して見せてはならない。 Entertainment の時代にあっては、仏 Grand Restaurant の伝統も過去の遺物なのかも。 白を glass で、赤は bottle で注文、どちらも富山県内の醸造らしい。 そして、食宴は、Prologue と呼ばれる五種の酒肴で始まる。 一皿目、肝と胡桃の Paste で和えた皮剝。 二皿目、頂には Zucchini の Sauté が載せられ、一層目に炭火焼の太刀魚。 二層には Zucchini の purée 。 三層は茸の purée 、四層は胡瓜とZucchini を賽の目状に切って和えたもの。 台となる最後の層には折り込まれた Feuilletage 生地が敷かれている。 端折りまくって伝えてもこれで、実際には香草なども加えた複雑怪奇な一皿。 Snacks な感じで召しあがってください。 … 続きを読む
Category : 食
六百七十九話 THIS IS THE “ L’évo ” 前編
一九八七年の秋、出張先の南仏 LYON で、山中に在る一軒の Auberge に案内される。 仏料理の何たるか?も解さない餓鬼だった頃の噺。 そこのところは、残念なことに爺になった今でもわからないままなのだが。 そもそもに “ 食 ” にここまでの膨大な手間と時間と金銭を費やす人達がいることに驚く。 それは、創る料理人と食べる客のどちらにもいえる。 たった一晩の夕食のためだけに大西洋を超えて LYON の山中にまでやってくる米国人。 彼らの腹と舌の欲求を完璧に満たすべく待ち受ける料理人。 美食という正気の沙汰とは思えない世界があるのだとその夜知らされる。 Auberge の主は、料理界の Leonardo da Vinci と称された Alain Chapel 氏。 食に関わる追憶という意味では、自身にとっても忘れがたく素晴らしい夜だった。 今回、こういう体験を再び与えてくれた従姉妹夫婦には感謝しかない。 困難な予約から厄介な場所への運転まで、ほんとうに面倒をかけました。 富山駅前で、ご当地拉麺 “ 富山 Black ” を軽く腹に入れて出発。 目指す場所は、南砺市利賀村。 標高一〇〇〇m級の山々に囲まれ、急峻な峡谷がひとの往来を拒む。 下に落ちれば御陀仏、上から落ちてきても御陀仏の道をいく。 こんなとこにほんとに在るの?道中何度も訊いた。 一時間三〇分ほど経って、田の島辺りで川幅が狭まった利賀川に架かる橋を渡る。 すると灰色の平屋が数棟並び建っているのが見えた。 … 続きを読む
Category : 食
六百七十五話 のどぐろ
従姉妹の息子が、鳥取から出て大阪の大学に通うようになった頃、口にした一言。 「俺、研究室の連中とかと魚食いに行くの嫌なんだよね」 「皆が旨いって喜んでるのに、俺ひとりそうでもないって言うと空気悪くなるだろ」 「だから旨いってことにするんだけど、ほんとは美味しくないんだよね」 まったくもって感じの悪い言い草なのだが、これは真実でもある。 海辺の家界隈も魚処に違いはないのだが、前海は太平洋側の瀬戸内。 魚の旨さでは、実家鳥取の日本海には敵わないと言いたかったのだろう。 もちろん、魚には、それぞれに合った餌や水温や海流などの条件がある。 なので、すべての魚種に於いてそうだとは言えない。 ただ、半島や大陸に近く海底や潮流が複雑で、最高の漁場であることは確かだ。 先日、そんな鳥取でとっておきだという一軒の割烹に連れていかれた。 漁解禁の翌日だった蟹はもちろん旨かったけれど、驚いたのは、これ! 赤鯥、関西では “ のどぐろ ”と言った方が通りが良いかもしれない。 ふっくらとした身は塩焼きに。 捌き終えた尾ヒレ、カマは骨煎餅に。 揚げた銀杏と湯葉を脇に添えて。 身の質が、緻密で、脂がのっていて、仄かな甘みが口の中で溶けていく。 骨煎餅は、これで一腕分の出汁が引けそうなくらい旨味が濃い。 無茶苦茶に旨いわぁ! 大枚叩いて喰うほどのこともないと思っていた “ のどぐろ ” がここまで旨いとは。 獲れた漁場、喰った季節、料理人の腕前そのすべてが完璧に噛み合うとこうなる。 さらに、合わせた酒がまた絶妙だった。 高知県四万十町の酒蔵 “ 無手無冠 ” の蒸留焼酎 “ DABADA Italiano ” 欧州最大産地である伊産の栗を使い、栗の天然樽で熟成させた芳醇な焼酎。 日本産の栗と違い甘さより香ばしさが勝る。 そして、これでもかというほどの栗の芳香が鼻に抜けていく。 … 続きを読む
Category : 食
六百七十四話 公邸料理人が創るカツ丼
前話からの肉宴は一日では終わらず、翌日の昼に向かったのはカツ丼専門店。 阪急電鉄 今津線 仁川駅。 中学・高校・大学と一駅手前の駅で降り通学していたので馴染み深いはずなのだが。 四十年以上も刻が経つとまったく見知らぬ場所となり、懐かしさすら湧いてこない。 カツ丼専門店 “ 桜花 ” は、その仁川駅前に在る。 日本国公邸料理人だった伊永大樹氏が、亭主として営む。 商いものは、ロース二二〇グラムの上と一七〇グラムの並、数量限定のリブロース。 この三品のカツ丼だけで、他にはないという潔い飯屋だ。 二二〇グラムのリブロースカツ丼をご飯大盛で注文する。 ふつう丼物といえば注文するとサッと出てきそうなものだが、此処はそうではない。 結構な手間と刻がかかって、ようやく供される。 待っていると、半空きの蓋から黄金色の豚カツが覗いた丼が目の前に。 Looks so yummy! 見た目の破壊力が半端ない。 しかし、このカツ丼ちょっと変わっていて。 豚カツを汁と卵でとじずに、ふんわり半熟にした卵の上にのせただけ。 さらに、飯は、白米ではなく一六穀米が盛ってある。 そして、上からほどよく甘いタレがかけられるという変り種だ。 汁でとじられていない分、豚肉の旨味が誤魔化されず味わえる。 加えて、豚カツ衣のサクッとした歯応えも損なわれない。 よそわれている一六穀米の香ばしさが、カツ丼の重さを減じさせ食がよく進む。 また一六穀米に含まれる Vitamin B2 は、脂肪を燃やし尽くしてくれる。 よって、このカツ丼は何杯食したところで健康に良い。 なるほどなぁ、良く考えられてるわ、このカツ丼。 亭主に。 「ねぇ、この豚肉って熟成させてるの?」 「はい、なんちゃって程度に軽く熟成させてます」 「あまり熟成させすぎるとカツ丼には向かない気がして」 青森県産の地養豚に衣をつけ低温でじっくりと温めた後、高温でサッと揚げる。 この脂っこくなくあっさりと、それでいてみずみずしい食感は他にはないと思う。 … 続きを読む
Category : 食
六百七十三話 肉会 !
随分前から、その噂を耳にしていた。 神戸に、本気で肉を食べたいひとしかたどり着けない Bistro があるらしい。 噂だけで、なかなか訪れる機会がなかったのだが。 先日鳥取から従姉妹がやってくるというので、バスの到着時刻に合わせて予約してみることに。 予約時に店側から、近くに着いたら連絡するように言われた。 でないと、わからないらしい。 このところ、こういう面倒な流れで案内される飯屋が巷に増えているような気がする。 飲屋街に建つ雑居ビルの三階に目当ての店屋は在った。 “ GALLO GARAGE ” すでに外観からして、まっとうな飯屋とは言い難く。 倫敦の Haunted House か、禁酒法時代の Bar か、いずれにしても堅気が出入りする感じではない。 訊くと、描いた店舗構想は 「髑髏と乳房」って、そのまんまやないか! しかし、肉を喰うという背徳感を、肉を喰う手前から味わえるというのは悪くないかも。 それにしてもこの店舗、見かけからは想像もつかない工夫が凝らされている。 動線構築、卓配置、厨房の一部が敢えて眺められるよう設置した bar counter や配膳台など。 見せたいモノを見せ、隠したいモノを隠しながら、絶妙の作業効率を担保してある。 乳房から注がれる beer server に誤魔化されてはいけない、これはプロ中のプロの仕業だ。 天井照明から床材処理まで、ここまでやれる奴って、どんな店主なんだろう? エロい割りには品は損なわず、雑然としているようで合理的で効率よく整っている。 店舗設計士や工務店任せでは到底できない、店主の裁量次第というところだろう。 どこの街場にも凄い奴がいるもんだと感心していると、ようやく皿が卓へ。 この beef cutlet の断面は、もう絵に描いて残したいくらいだ。 添えられた mashed … 続きを読む
Category : 食
六百六十九話 罪深い一皿
最近気に入って通いだした焼鶏屋。 巷に隠れ家的な店屋が増えてきてはいるものの、ここまで隠れている店屋も珍しい。 旧いビルの隙間に両肩が壁にあたるほど狭い階段があって三階まで登っていく。 登った先には鉄製の扉があって、脇にちいさく英字で屋号が描かれている。 目指したのは、Mafia の隠れ家らしい。 鉄扉を開けても、いわゆる焼鶏屋の煤けた感じはまったくしない。 何方かと言えば、薄暗く妖しげな BAR に近い。 窓からは、旧居留地の灯りが差し込む。 一見の客が、どうやってもたどり着けない焼鶏屋。 それが、“ TIMELESS ” 。 店主をはじめ皆若く、勢いがある。 東門街あたりで、婆さんがひとり焼いている乾涸びた焼鶏屋とは大違いだ。 まぁ、それはそれで味があって良い風情だが、とても同じ商いとは思えない。 さて、肝心の焼鶏はどうなのか? はっきり言って、ここの焼鶏はどの串も抜群に旨い。 ちょっと手前で焼きを寸止めし、あとは余熱で加減する。 一本一本の串に施される手間と塩梅が、地鶏の旨さを引きだす。 焼き台と囲炉裏を仕切る増永君の技は、半端ないと想う。 またその手前の鶏肉を捌き、串を打つ仕込みからして相当の気を配っているのだろう。 上品な味わいだが、地鶏の脂はしっとりと甘く口に残る。 そして、これ! 平飼い卵の黄身が添えられた甘ダレのつくね。 黄身をまぶして食べる。 さらに、食べ終えた皿を回収し、一口分の白飯を盛って返す。 つくねの脂と甘ダレと黄身が白飯に絡んだ “ 卵かけご飯 ” 。 こういうのは、やめなさい!中毒になるわぁ!マジでやばい! これを喰いたければまた来てね的な一皿で、しかも一口だけという嫌味な演出。 つくづくタチの悪い飯屋だと想う。 地鶏の刺身に始まって〆の Risotto … 続きを読む
Category : 食
六百六十三話 GRAND Calbee
おかげさまで、母の一周忌法要を無事済ませられました。 いやぁ〜、暑かった。 集まっていただいた親族の方々には、遠方からの方もおられてさぞ大変だったと思います。 感謝です。 ありがとうございました。 海辺の家に戻って、それぞれにいただいたお供えを仏壇に供える。 いっぱいあって、積みながら眺めていると結構楽しい。 仏様のお膳を支度している嫁に。 「 UMEDA味って、これなに?」 「あっ!それ、 GRAND Calbee だわぁ! 梅田味のポテト・チップス!」 「 GRAND Calbee ? 梅田味? なに?」 「ほら、阪急百貨店の梅田本店でよくひとが並んでるでしょ、限定でそこしか買えないやつ」 「えっ、あの行列って、ポテト・チップス目当てなの?」 「そうだよ!知らんの?」 「知らん、初めて聞いた」 「Calbee ポテト・チップスの高級版で、梅田限定味とかがあるわけよ」 「ヘぇ〜、詳しいね、で、普通のやつより旨いの?」 「それは、知らん、食べたことないから」 「そこは、知らないんだぁ」 「じゃぁ、食ってみよう」 「お供えしてからね」 「いや、他にいっぱいあるんだから、ちょっと一箱食ってみよう」 ってことで、食べてみた。 どうやら、味は、焼きしお味、スキヤデ!味、ウメダ!味の三種類あるみたいだ。 まず一袋目は、焼きしお味から。 封を開けて取り出してみると、大きさや形状の見た目からしていつものと違う。 外径がふた周りほど小さくて、厚みが厚く、表面が波板状になっている。 この形状が、そのまま歯応えや食感の違いを生じさせる。 焼きと題されているとおり炙ってあって、香ばしくて旨い。 なるほど、一般のモノよりひと手間もふた手間もかけて旨さを引出しているってわけかぁ。 次に、ウメダ!味。 … 続きを読む
Category : 食


