月別アーカイブ: April 2019

五百三十六話 古材柱

海辺の家を改築し始めてから、間も無く四ヵ月が経とうとしている。 で、その進捗はというと未だ半分にもならない。 工務店の担当者に。 「ねぇ、家建てるのって、もうちょと楽しいもんだと思ってたけど、全然楽しくねぇんだけど」 「こんなもんなの?」 「いやいや、段々とできてくると気分もあがってきますから」 って、いつのはなしだよ? 古館の改築は、図面通りにはいかない。 半年かけて建築家の先生がひいた設計図面も、解体してみると現実的ではない部分もある。 その都度、再考し仕様を変更していく。 どうしても手探りの作業を強いられる。 棟梁が。 「ご主人、二階の柱二本が、図面通りには抜けませんねぇ」 「柱を新材に入れ替えて残さざるをえないんですけど、真新しいのが露出しても良いですか?」 「まずいなぁ、ここにピッカピッカの白木の柱はないよなぁ」 「どうしますか?塗装でなんとか誤魔化します?」 「誤魔化すっても、太柱二本となると面が広すぎて無理じゃない?」 「ちょっと知ってる古材屋に訊いてみるわ」 そんなこんなで、古材屋の倉庫に。 “ BULLET JAPAN ” 古材輸入建材の扱いでは知られた会社で、名たる店舗の内装を手掛けてきた。 あるある、ところ狭しと解体古材が並んでいる。 百年以上の歳月を風雨に晒されて過ごしてきた木材は、やはり迫力がちがう。 が、しかし、住居内装に使用するには、古材としての主張が強すぎて使いづらい。 店舗材と住居材では、目指すところがどうしても異なる。 案内してくれた男前の若い職人に。 「もうちょっと節度のある古材ってないの?」 「はぁ?」 「いや、築七〇年くらいの家にあった柱とか」 「ないですけど、経年変化を想定してつくれますよ、僕でよければですけど」 「あのさぁ、俺、おんなだったらキミに惚れてるわ」 「ありがとうございます」 「でも、結構です!注文だけで」 「あっ、そう、じゃぁ注文するわ」 傷跡の程度や色合いを相談して、工程上一週間ほど要するという時間を待つ。 「一ヵ月程度で色は落ち着いてきますけど、これでいかがでしょう?」 「ありがとう!良い腕してるわ!」 … 続きを読む

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五百三十五話 新元号

平成三一年四月一日昼。 “ 大化 ” より数えて二四八番目の新元号が、国民に無事伝えらた。 「 令 和 」 まさかの 万葉集からの出典らしいけど、日本の情緒が込められた素晴らしい元号だと想う。 おめでとうございます。    

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