月別アーカイブ: November 2019

五百三十八話 還暦!

誕生月は一月だから、正確にはまだ五九歳なのだが、いづれにしても爺には違いない。 そして、爺は、還暦という括りで祝ってもらえるらしい。 「あんた、自分ではどう思ってるか知らないけど、もう立派な爺ですよ」 「みんなの邪魔にならないように、社会の片隅でひっそりと息していてね」 と、こうは、面と向かって言えないので、“ 還暦 ” で祝うフリをして爺としての自覚を促す。 証として祝いの品的なモノまで定められていて、赤色の服飾品が一般的なのだそうだ。 所謂 RED CARD で、意味するところは退場勧告である。 念の入ったことで、ありがとうございます。 しかし、暦が還るというこの節目は、悪いことばかりではない。 数十年の間、顔を合わさなかった仲間と集う機会が一気に増える。 時代を遡って、懐かしい顔ぶれと出逢う。 社会的立場や生活状況や健康状態 や外見など、それぞれではあるけれど。 遭ってしまうと、そこになんの隔たりもなく楽しく刻を過ごせる。 なにより、昭和の連中はよく飲む。 五人六人も揃えば、酒の注文を受けるだけで中居さんが席に常駐する始末だ。 相手の顔が霞むくらい煙草を吹かし、切れ目なく酒を煽る。 身体のどこが悪いだの痛いだの、どこの医者の腕が良いだの悪いだのと愚痴りながら。 決して自分の生活態度には言及しない。 “ 反省 ” の二文字は、とっくに人生のどこかで捨て去った愛すべき爺達。 宴も二時間が過ぎれば、もはやなんの集りだったのか?すら頭に浮かばない。 こんな世代も我々が最後なのかもしれないと想う。 まさに昭和の残滓だ。 いろいろとご批判もございましょうが、それでも愛していただきたい。 REDCARD だけは、ご勘弁ください。

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五百三十七話 生存報告

半年も blog を放置していたら、碌でもない噂が広まるらしい。 blog が更新できないほどの病だとか、遂に死んでしまったとか。 顧客だった方から、なにか自分にできることはないか?的な mail まで頂戴した。 これはもう、ちょっとした病を患っていることにした方が格好がつくような気もしたけれど。 それはそれで、もっと面倒なことにもなりかねない。 なので、正直にお伝えいたします。 頭は悪く身体はいたって元気に、変わらず生きております。 何度か blog を更新しようかとも思ったのですが。 ずっと、“ 海辺の家 ”の改築現場につめていたので これといった噺もなく。 写真を撮ろうにも、小汚い工事現場風景しかなかったのでその気にもなれず。 気がつけば半年 経っていたという始末です。 しょうもない次第で、ご心配をいただいた方には、ほんとうに申し訳ありませんでした。 その “ 海辺の家 ” も、一年近くの改築期間をようやく終えようとしております。 古いボロ館から新たなボロ館へと、たいして姿も変えず無駄に大きな図体を晒しています。 そして来週、撮影をし、先代家主であった義母の7回忌法要を執り行って完成という運びです。 まぁ、出来栄えについては、世間的に一切賛同されることはないと承知しております。 しかし、嫁とふたりで望んだかつてこの港街にあった住処の風情は残せたような気がしていて。 ささやかな満足感に浸っている今日この頃です。 今後は、死亡説が流れない程度の頻度で blog も更新していくつもりでおります。 懲りずにご一読賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 取り急ぎ、生存報告まで。

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