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五百四十一話 無事、終わりました。

“ 遠い昔、はるか彼方の銀河系で…………. ” 一九七七年、STAR WARS Episode IV 。 日本公開は、翌年の七八年。 大学に入ったばかりの頃で、ゼミで一緒だった女子を誘って劇場へと足を運んだ。 あれから、もう四〇年以上刻は経つ。 この物語を、いったい誰がどうやって終わらせるのか? 創案者である George Lucas ですら途中投出しかけた難解な宇宙歴史劇の終幕である。 世界中の誰もが知る物語だけに、観る側の興味はそこに集まる。 Episode  IV からの観客にとっては、無事にちゃんと終わって欲しいというのが願いだろう。 難しい注文だ。 “ すべて、終わらせる。” この至上命題を担ったのが、J.J. Abrams 監督。 僕も、“ STAR TREK ” の二作品を観て以来、多分この方なんだろうという予感はあった。 STAR WARS では、前々作 “ The Force Awakens ” に続いて、 監督・脚本・製作を務める。 … 続きを読む

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五百四十話 明けましておめでとうございます。

二〇二〇年一月一日。 明けましておめでとうございます。 まったくの私事なんだけれど。 一九六〇年一月二四日に生まれたから、今年は子年の年男になる。 年男なんだから、当然の事ながら年神様の御加護をひとよりたくさん受けるはずだ。 さらに、六〇年で干支が一回りして、再び生まれた年の干支にかえってきた。 還暦で、これもまぁ、めでたいんだろう。 が、しかし、おとこは、数え年の六一歳に災厄に見舞われると聞く。 平安の世より厄年として定められていて、お祓いをしなければならないほどにヤバイらしい。 年男で、還暦で、厄年って? 俺は、どうなるんだろう? 良くも悪くも、どうなったところでたいした噺じゃないにしても、気にはなる。 自慢じゃないが、気は人一倍ちいさい。 とにかく、急いで初詣に行こう。 そして、賽銭をはずもう。 渡る世間も銭しだいで、どっちに転ぶか決まるはずだ! くだらない私事はさておき、みなさまにとってこの年が良き年となりますように。  

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五百三十九話 MERRY CHRISTMAS 

今年は、海辺の家も改まったことだし、時間もあることだし、友人達も来れそうだし。 柄にもなく、CHRISTMAS HOME PARTY なるものを催すことにした。 もみの木 の TREE は、後始末が面倒臭い。 なので、 数年前に自前で作ってみた。 この TREE には、当時欲しかったモノが描かれている。 TIME・YOUTH・MONEY・FREEDOM 今現在、手にしたモノもあるし、そうでないものもあるし、ちょっとたりないものもある。 あまり深掘りすると生々しい噺にもなりかねないので、やめておく。 それより、 宴会だ! 百日紅の枯れ木に。 天使の洋燈に。 この時期、庭に咲く唯一の花 “ GABRIELLE ” を。 って、気取ってみたものの。 結局は、飲んで、食って、騒いだだけだった。 みなさま、良い CHRISTMAS をお過ごしください。

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五百三十八話 還暦!

誕生月は一月だから、正確にはまだ五九歳なのだが、いづれにしても爺には違いない。 そして、爺は、還暦という括りで祝ってもらえるらしい。 「あんた、自分ではどう思ってるか知らないけど、もう立派な爺ですよ」 「みんなの邪魔にならないように、社会の片隅でひっそりと息していてね」 と、こうは、面と向かって言えないので、“ 還暦 ” で祝うフリをして爺としての自覚を促す。 証として祝いの品的なモノまで定められていて、赤色の服飾品が一般的なのだそうだ。 所謂 RED CARD で、意味するところは退場勧告である。 念の入ったことで、ありがとうございます。 しかし、暦が還るというこの節目は、悪いことばかりではない。 数十年の間、顔を合わさなかった仲間と集う機会が一気に増える。 時代を遡って、懐かしい顔ぶれと出逢う。 社会的立場や生活状況や健康状態 や外見など、それぞれではあるけれど。 遭ってしまうと、そこになんの隔たりもなく楽しく刻を過ごせる。 なにより、昭和の連中はよく飲む。 五人六人も揃えば、酒の注文を受けるだけで中居さんが席に常駐する始末だ。 相手の顔が霞むくらい煙草を吹かし、切れ目なく酒を煽る。 身体のどこが悪いだの痛いだの、どこの医者の腕が良いだの悪いだのと愚痴りながら。 決して自分の生活態度には言及しない。 “ 反省 ” の二文字は、とっくに人生のどこかで捨て去った愛すべき爺達。 宴も二時間が過ぎれば、もはやなんの集りだったのか?すら頭に浮かばない。 こんな世代も我々が最後なのかもしれないと想う。 まさに昭和の残滓だ。 いろいろとご批判もございましょうが、それでも愛していただきたい。 REDCARD だけは、ご勘弁ください。

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五百三十七話 生存報告

半年も blog を放置していたら、碌でもない噂が広まるらしい。 blog が更新できないほどの病だとか、遂に死んでしまったとか。 顧客だった方から、なにか自分にできることはないか?的な mail まで頂戴した。 これはもう、ちょっとした病を患っていることにした方が格好がつくような気もしたけれど。 それはそれで、もっと面倒なことにもなりかねない。 なので、正直にお伝えいたします。 頭は悪く身体はいたって元気に、変わらず生きております。 何度か blog を更新しようかとも思ったのですが。 ずっと、“ 海辺の家 ”の改築現場につめていたので これといった噺もなく。 写真を撮ろうにも、小汚い工事現場風景しかなかったのでその気にもなれず。 気がつけば半年 経っていたという始末です。 しょうもない次第で、ご心配をいただいた方には、ほんとうに申し訳ありませんでした。 その “ 海辺の家 ” も、一年近くの改築期間をようやく終えようとしております。 古いボロ館から新たなボロ館へと、たいして姿も変えず無駄に大きな図体を晒しています。 そして来週、撮影をし、先代家主であった義母の7回忌法要を執り行って完成という運びです。 まぁ、出来栄えについては、世間的に一切賛同されることはないと承知しております。 しかし、嫁とふたりで望んだかつてこの港街にあった住処の風情は残せたような気がしていて。 ささやかな満足感に浸っている今日この頃です。 今後は、死亡説が流れない程度の頻度で blog も更新していくつもりでおります。 懲りずにご一読賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 取り急ぎ、生存報告まで。

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五百三十六話 古材柱

海辺の家を改築し始めてから、間も無く四ヵ月が経とうとしている。 で、その進捗はというと未だ半分にもならない。 工務店の担当者に。 「ねぇ、家建てるのって、もうちょと楽しいもんだと思ってたけど、全然楽しくねぇんだけど」 「こんなもんなの?」 「いやいや、段々とできてくると気分もあがってきますから」 って、いつのはなしだよ? 古館の改築は、図面通りにはいかない。 半年かけて建築家の先生がひいた設計図面も、解体してみると現実的ではない部分もある。 その都度、再考し仕様を変更していく。 どうしても手探りの作業を強いられる。 棟梁が。 「ご主人、二階の柱二本が、図面通りには抜けませんねぇ」 「柱を新材に入れ替えて残さざるをえないんですけど、真新しいのが露出しても良いですか?」 「まずいなぁ、ここにピッカピッカの白木の柱はないよなぁ」 「どうしますか?塗装でなんとか誤魔化します?」 「誤魔化すっても、太柱二本となると面が広すぎて無理じゃない?」 「ちょっと知ってる古材屋に訊いてみるわ」 そんなこんなで、古材屋の倉庫に。 “ BULLET JAPAN ” 古材輸入建材の扱いでは知られた会社で、名たる店舗の内装を手掛けてきた。 あるある、ところ狭しと解体古材が並んでいる。 百年以上の歳月を風雨に晒されて過ごしてきた木材は、やはり迫力がちがう。 が、しかし、住居内装に使用するには、古材としての主張が強すぎて使いづらい。 店舗材と住居材では、目指すところがどうしても異なる。 案内してくれた男前の若い職人に。 「もうちょっと節度のある古材ってないの?」 「はぁ?」 「いや、築七〇年くらいの家にあった柱とか」 「ないですけど、経年変化を想定してつくれますよ、僕でよければですけど」 「あのさぁ、俺、おんなだったらキミに惚れてるわ」 「ありがとうございます」 「でも、結構です!注文だけで」 「あっ、そう、じゃぁ注文するわ」 傷跡の程度や色合いを相談して、工程上一週間ほど要するという時間を待つ。 「一ヵ月程度で色は落ち着いてきますけど、これでいかがでしょう?」 「ありがとう!良い腕してるわ!」 … 続きを読む

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五百三十五話 新元号

平成三一年四月一日昼。 “ 大化 ” より数えて二四八番目の新元号が、国民に無事伝えらた。 「 令 和 」 まさかの 万葉集からの出典らしいけど、日本の情緒が込められた素晴らしい元号だと想う。 おめでとうございます。    

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五百三十四話 六本木歌舞伎 “ 羅生門 “ 

新元号を迎えると、市川團十郎白猿が誕生する。 期間限定、平成十一代 市川海老蔵の舞台姿もそろそろ見納めかという今日この頃。 原作 芥川龍之介 演出 三池崇 六本木歌舞伎 第三弾 “ 羅生門 ” 大阪公演を観た。 第三弾の共演者は、“ V6 ” の三宅健らしい。 そう耳にしても顔すら思い浮かばんけど。 第二段 ” 座頭市 ” では、女優寺島しのぶさん。 オンナの次は、アイドル? まぁ、客としては、木戸銭分楽しませていただければつべこべいう筋合いではない。 そもそも、文句を口にするほど歌舞伎にも芝居にも通じてはいないから。 そんな俄客でも ” 座頭市 ” の寺島しのぶさんは艶っぽく映ったし、舞台も充分に面白かった。 しかし、気になるのは演目だ。 芥川龍之介の “ 羅生門 ” って、登場人物はふたりだけだったような。 たしか、老婆と下人。 となると、市川海老蔵と三宅健のふたり芝居? 早変りもなし? 序幕 第一場 羅生門 いきなり、芥川作品には描かれていない場面が舞台に。 市川海老蔵演じる渡辺綱と市川右團次演じる茨木童子の大立ち回りから始まる。 幕前の武者と鬼の斬り合いの後、幕があがり荒れ果てた羅生門が闇の中に浮かぶ。 … 続きを読む

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五百三十三話 傷跡

一九五〇年頃の木造家屋は、そのほとんどが布基礎を土台として建てられた。 布基礎は、建物の壁に沿ってコンクリートを打って造る。 なので、床を捲れば、下には土の地面が覗く。 海辺の家も、そういう具合になっている。 基礎の補強もあって、床材を剥がして床下を確認した。 現場監督、家曳屋、建築家、施主、その場に居た皆が顔を合わせて。 「見た?」 「見たよね?」 幅一〇センチ長さが二メートルほどだろうか、地面に亀裂が走っている。 深さは、相当に深く実際にはどれくらいなのか?見当がつかない。 「これが傾きの原因かぁ、怖ぁ!」 「しかし、よくまぁ、ご両親もご無事で」 地面がこれだけの始末なのに、建屋自体には、傾いているものの構造上大きな問題はなさそうだ。 木と土で建てられた古屋も馬鹿にしたものではない。 結果として家人を守ったんだから。 それにしも、この辺りの硬い地盤を裂くとは、地震の怖さを改めて知る。 そして、今も国道沿いに遺る地震の遺構が思い浮んだ。 そりゃぁ、高速道路の橋脚を捻じ切るほどだから、もう何をやっても無駄のような気もするけれど。 そんな諦めの境地でいたのに。 「こうやって、見ちゃったらしょうがないよねぇ」 「布基礎のコンクリートを打替えて補強するつもりだったけど、見ちゃったらそうもいかない」 「えっ?そうもいかないって?じゃぁ、どうすんの?」 「硬い地盤まで杭を打って、ベタ基礎に変更して、衝撃を強固な面で受ける方向でやるかぁ」 「いやいや、それってもはや補強じゃないだろ?新たな基礎をってはなしじゃないの?」 「そんなの誰が銭払うの?」 「それは、もうご主人が」 「阿保かぁ!」 「いや、うちはもともと基礎屋出身だから、この手の仕事には良い腕してっから」 「そういうはなししてんじゃないだろう!銭をどうするんだって言ってんだよ!」 「だからぁ、それは、ご主人が」 建築家の先生に訊く。 「先生の見解はどうなの?」 「まぁね、お金は持って死ねないから」 「うるせぇよ!」 ほんと、見なきゃ良かった。

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五百三十二話 家曳き屋

海辺の家は、二四年前の大震災で大きな傷を負っている。 当時、一応の修繕は施したものの元通りというにはほど遠い。 何度かちゃんと治そうという話もあったが、病を抱えた高齢の家主は踏み切らなかった。 「わたしが逝った後で、あんた達の好きなようにしなさい」 義母は、そう言っていた。 好きなようにと言われて、義父や義母の趣味に合わない家を、潰して建替えたのでは身も蓋もない。 そこが、まったく厄介だ。 家は、西側部分の傷みが特にひどい。 建築家の先生の見解としては。 「西側平屋部分だけは、さすがに新築された方が、費用的にも手間的にも良いと思うけど、駄目?」 西側の端は納戸になっていて、家の三分の一ほどの床面がその方向に傾いている。 床面を水平にするには、家全体を持ち上げて基礎全面をやりかえなければならない。 屋根瓦・壁・床を撤去して家を軽くした後、水平値にまであげる。 その際、もの凄い衝撃と負荷が家に加わる。 築七〇年近いこの家は、それに耐えるのだろうか? 一体誰が?どうやってあげるのか? 建築会社が方々をあたり、そして、やって来たのがこの連中。 鳥取県に在る “ 鈴木家曳業 ” の鈴木さん。 作業着の胸には、◯ に “ 曳 ” の一文字が描かれている。 なんかこうとても頼りがいがありそな雰囲気がするんだけど。 っうか、家曳業なんていう稼業があんの? 「まぁ、家あげて曳くだけなんだけど、ちょっととりあえず図面みせて」 「あぁ、ここね、随分と下がってるねぇ」 「可能ですか?」 「えっ?なにが?」 「いや、水平になるかどうかですけど」 「なるよ」 腕の良い職人ほど、自らの仕事をいとも簡単に言う。 「家への負荷は、やはり相当なものなんでしょうね?」 「負荷?そんなものかかんないよ、瓦一枚落ちないから」 「でも、屋根瓦とか全部おろして軽くした方が」 … 続きを読む

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