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五百二十八話 俵屋の秋

一ヶ月半ぶりで、ご無沙汰しております。 海辺の家の改築にともなう設計や材料手配や荷物整理やらで、落ち着かない日々を送っていて。 そんな最中、友人から “ 俵屋 ” に泊まるから一緒にどうか?と誘われた。 どうしようかと迷ったが。 友人とも久しぶりだったし、“ 俵屋 ” も久しぶりだったので誘いに乗ることにする。 京都麩屋町姉小路、文豪川端康成が愛した “ 柊屋 ” と向かい合って “ 俵屋 ” は在る。 作家は、 “ 柊屋 ” を何事にも控目な宿と評したそうだ。 その控目加減で言うと向かいの  “ 俵屋 ” は、それ以上だろう。 しかし、そうした究極に控目な宿屋の評判は、驚くほど高い。 おおよその贅を知り尽くした世界の上客が、つまるところ “ 俵屋 ” が一番の宿屋だと言う。 Steve Jobs、Tom Cruise、名前をど忘れしたが BOSS珈琲のあの宇宙人も、皆がそう言う。 なにをもって、そこまで心酔させられるのだろう? 幾度かこの宿屋で床を敷いてもらったが、そこがよく分からない。 妙な話だけれど、そのよく分からないところを気に入っている。 ” 俵屋旅館 … 続きを読む

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