月別アーカイブ: August 2021

五百八十三話 仮想から理想へ、そして、想像から創造へ。

“ TSUBURAYA EXHIBITION 2021 ” コロナ禍だろうとなんだろうと、詣でないという選択肢はない! 問題はいつお参りするかだが、終盤の昨日にした。 兵庫県立美術館へ。 館地下の駐車場は満杯。 会場受付には夏休み中の子供、その息子以上に興奮している父親、開催期間中無限に通うオタク。 そして、無理矢理連れ出されて不機嫌な母親や嫁達で溢れている。 コロナ禍の開催終盤にして、この人気とはなぁ。 昭和という時代。 映像・音楽業界の天才達が、寝食を厭わず取り組んだ傑作中の傑作 “ ウルトラ・シリーズ  ” 一九六六年一月二日、その初号となる “ ウルトラQ ” が TV放映される。 全編映画用三五ミリ・フィルムでの撮影という常識外れの制作体制で臨んだ作品だった。 僕は、当時、後数日で六歳になるという頃。 一族郎党の皆が映画人という奇妙な家に産まれ、“ TV は敵だ!” という空気を吸って育った。 “ 活動屋の息子が、TV なんか観るな!” という斜陽側の屁理屈を押付られる。 正月の二日は、映画人にとっての掻き入れ刻、子供達は劇場にほったらかしにされる。 おとなの目を盗んで、裏手の事務所でひとつ歳上の従兄弟と禁断のテレビにかじりついて観た。 古代怪獣ゴメスが目に飛び込んでくる。 もう鼻血が吹き出すほどの興奮で、原始怪鳥リトラが登場する頃には気絶しそうだった。 そして、同じ年の七月、巨大変身ヒーロー 「 ウルトラマン … 続きを読む

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五百八十二話 蝉は、意外と生きる。

はぁ? うっせぇ、うっせぇ、うっせぇわ! なんなん? こいつら? 毎年毎年、夏の盛りになると地べたから湧き出てきて、鳴きまくる。 海辺の庭に “ ジージー、ジリジリジリジリ ” と響く。 早朝から夕刻まで、容赦なく飽きもせず鳴き続け、興が乗ってくれば夜鳴きだってする。 一体何匹いるんだろうか? 何百?いや千匹は超えるかもしれない。 正体は、間違いなくアブラゼミだ。 その名に由来する通り、油で揚げた際の撥ねる音を最大限に増幅させたような声で鳴く。 耳障りで、頭に響く、碌でもない音質で、なんの風情もありはしない。 ひとの頭に平気で上から小便を引っかけたりもする。 そして、地面は穴だらけ。 ほんとうに、なんの役にも立たない、ただうるさいだけのどうしようもない輩だ。 蝉は、幼虫として地中で六〜七年暮らし、成虫となってからは、地上で一週間ほどしか生きれない。 だから、その儚さに免じて虐めたり殺してはならないと教わってきた。 しかし、二〇〇〇年以降の研究で、アブラゼミは、結構ちゃっかり生きていることが解ったという。 一ヵ月程度は、元気に生きるらしい。 どうりで、一向に鳴き止まないはずだ。 茹だるような暑さに、この騒音、とっとと逝ってくれ!            

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