月別アーカイブ: August 2013

二百二十二話 Final mastermind JAPAN in Musée du Dragon

ほんとに、長い間ありがとうございました。 長い間と簡単には片付けられないくらい長い間です。 mastermind JAPAN と巴里で出逢った頃は,まだ誰も知らなくて。 SKULL のアイコンもまだなくて。 本間君や、藤田君や、僕ももっと若くて。 Meaux さんは、今でも若くて綺麗だけど。 こんなこと言出したら、年寄り臭い湿っぽい話になるのでもう止めます。 無名時代から、 弊店にて mastermind JAPAN をご支持いただいた顧客様にはなんのお返しもできませんが。 これが、Musée du Dragon として、mastermind JAPAN の名を冠した最後のアイテムとなります。 なので、感謝の気持ちも込めました。 このアイテムの詳細は、Musée du Dragon より顧客様に対し個別に連絡させていただきます。 宜しくお願い申し上げます。 本企画には、OVER THE STRIPES の大嶺保さんにも参加していただきました。 いろいろと御面倒をおかけし、ご無理申し上げ恐縮です。 ありがとうございました。 でも、このグラフィックには、大嶺さんも想いがあるんじゃないかなぁ。 そして。 背面には、こんな言葉が。 GOOD BYE SKULL … 続きを読む

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二百二十一話 あの頃の巴里

おぉ〜、絶景ですなぁ〜。 巴里の Cathédrale Notre-Dame 辺りからの展望ですかねぇ? 撮影者は、SLOWGUN の小林学さん。 あのニコンの重たい機材を引っさげて展望階まで登るのは、さぞ大変だったろうと思う。 加えて、街中で買ったシャワー・ヘッドもぶら下げていたらしい。 まぁ、これだけの写真が撮れたんだから、その甲斐もあったという訳だろうけど。 小林さんは、巴里に在住していた時期がある。 僕は、住んではいないが、出張期間を通算すると二年間以上巴里の空気を吸っていたことになる。 お互いに、一九八〇年代の半ば頃の巴里を彷徨っていた。 Place de Victoires では、Guy Azoulay が CHEVIGNON の店を構えていて。 ちっとも文化的でない 総合文化施設 Ponmpidou Centre がまだ新しさを保っていて。 その Les Halles は、巴里中央卸売市場として賑わっていて。 豚売場の前では、Au Pied de Cochon という屋号の古い食堂を肥満の亭主が営んでいて。 洗面器みたいな鉢に玉葱スープを注ぎ、どっぷりチーズをかけて無理矢理客に喰わせていた。 Chevignonも、Ponmpidou Centreも、Au Pied de … 続きを読む

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二百二十話 あなたへ

“ あなたへ ” ⎡あなたへって、このおっさん、遂に暑さで頭でもおかしなったんとちゃうか?⎦ 確かに頭はおかしいけど、違いますよ。 邦画の題名です。 高倉健さんの二〇五本目となる主演で、約一年前の二〇一二年八月二十五日に封切られた作品。 巨匠降旗康男監督とは、二十作品目となる。 高倉健さんには、ほんとに申訳ありませんが、僕は、この作品を劇場で観ていません。 この歳になると、妻に先立たれた夫的な話は、感動より恐怖が勝って楽しめないんです。 爺が逝って婆が元気ってのはよく聞くけど、婆が逝って爺が元気なんて聞いたことないでしょ? だから、駄目なんですって、この手の話は。 歳頃のおっさんには。 その怖い “ あなたへ ” が、先日の日曜日にテレビで放映されていた。 観てはいけないと思いつつ、つい観てしまった。 案の定ちょっと辛いところもあったけど、意外と淡々としていてカラッと仕上げられた作品だった。 富山から亡き妻の故郷長崎の平戸へ。 これは、鉄壁の配役を布陣して描き出した、とても良質なロード・ムービーなんだろうと思う。 それに、何と言っても高倉健さん。 ワンシーン、ワンシーンが、肖像画の如く絵になる。 八十歳を越えられて、老優の域に入られても、いささかもお変わりにならない。 背筋をスッと伸ばして静かに立つ姿は、日本映画界の象徴そのものといった感がある。 本作では、高倉健さんの脇を 、実力派や異色の役者さん達が見事に務められている。 田中裕子、ビートたけし、佐藤浩市、長塚京三、原田美枝子、浅野忠信、余貴美子、綾瀬はるか、 三浦貴大、草薙剛に加え、復帰された岡村隆さんの姿も。 そして、忘れてはならない名優中の名優が、大切なシーンの撮影に挑まれている。 平戸の海へ、散骨に向かう主人公を案内する年老いた漁師の役。 演じられたのは、八七歳になられた大滝秀治さん。 散骨を無事に終え港に戻って、主人公役の高倉健さんに向かっての台詞。 ⎡久しぶりに、きれいな海ば見た⎦ なんてことない台詞が、至宝の名脇役と称えられた役者の最後の台詞となった。 なんてことないはずの台詞が、沁み入るように響く。 僕は、渥美清さんと、高倉健さんは、泣かない俳優さんだと思っていた。 その高倉健さんの目に涙が滲む。 勝手な想像で怒られるかもしれないけど、この涙、芝居じゃなかったんじゃないかなぁ。 … 続きを読む

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二百十九話 してはいけない事をする男。

Over The Stripes 2013 – 2014 fall & winter collection 一目で気に入ったシャツがあった。 なんともイケテナイ配色。 何故か、妙にそそられる。 擁護する訳ではないが、デザイナー大嶺保さんの色感覚は日本人離れしていて洗練されている。 なのに、このシャツに限ってどうしたことなのか? 無地だけじゃなくて、格子柄のもあるのだけれど。 どれも、なんとなく配色が野暮ったい。 不思議そうにしていると、大嶺さん本人がやって来て。 ⎡解りますぅ? ほら、フリースで有名なアウトドア・メーカーですよ⎦ ⎡あぁ、そこかぁ!⎦ これって、そこのフリース・ジャケットの配色をシャツに映したんだぁ。 だから、ポケットの仕様がこうなるんだぁ。 配色、仕様、素材感、細部にまで独自の考察に基づいた洒落が仕組まれている。 大嶺流 MANIAC な服創りは、玄人の受けが良い。 実際、mastermind JAPAN の本間君をはじめその筋のファンも多い。 それにしても、ほんとに困った人である。 有名なものや、ステイタスの高いものや、万人にウケてるものを見つけると茶化さずにはおれない。 標的にされた先から訴えられようと、我慢出来ない。 我慢するつもりもない。 いけない男、それが大嶺保さんなのである。 温和で、人当たりも良く、賢い人なのだが。 その身のどこかに、いけない悪魔が棲んでいるのだろう。 本間君から、巴里で OVER THE … 続きを読む

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二百十七話 今、 JEANS はどうあるべきか?

意外と考え始めると難しいのが  JEANS なのだ。 Vintage 製品を基にした能書満載の “ OTAKU JEANS ” Night Walker 御用達オミズ仕様の “ PREMIUM JEANS ” とにかく安いが値打ちもそれなりの “ FAST JEANS ” 市場には、隙間なくあらゆる JEANS が溢れている。 なにが新しくて、この時流の中で、今、 JEANS はどうあるべきなのか? 僕なりにというか、Musée du Dragon 的に考えてみた。 現状では、JEANS が装いの主役となる環境にはない。 そもそもの話。 それなりの JEANS さえ履いていれば、どんな格好でも安心という中学生的発想がつまらない。 なので、強く主張する凝ったつくりの JEANS は必要としないし、かえって使いづらい。 … 続きを読む

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二百十五話 THE HUNTER

  MA-1 Flight Jacket かぁ。 な〜んか、昭和なんだよねぇ。 何処の、誰に、憧れたのかは別にして。 昭和生まれのオッサンは、一度や二度は袖を通したことがあるんじゃないかなぁ。 一九八〇年 、Buzz Kulik 監督作品 “ The Hunter ” Steve McQueen は、現代の賞金稼ぎをこの MA-1 Flight Jacket を羽織って演じた。 そして、本作は、世界中の男達が憧れた名優の遺作となる。 しかし、MA-1 Flight Jacket を着たからといって。 “ Top Gun ” の Tom Cruise にも、“ The Hunter ” の … 続きを読む

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