
眼鏡収集癖。
Vintage から latest model まで、専用の引出しに収まりきらない数になってしまった。
さすがに、自分でもどうかしてると想いつつ増えていく。
海外に出向いても他に買物はしないが、眼鏡店や工房には必ず通う。
Handmade の高級眼鏡は、 それぞれ独自の Ergonomics に基づいて発想される。
その考え方は、年代、顧客の職種、国などによっても異なっているように思う。
日・米・英・独・仏・伊・東欧など、癖のような独自色がみられる。
不確かではあるけれど、多分、民族個々に骨格が違うことからかもしれない。
どう違っているかを語りだすと面倒臭がられるので、人前ではしないことにしているのだが。
とにかく、この一本の眼鏡が、どんな発想によって創られたのか?
そんな出自を妄想しだすと止まらない。
自分でも厄介な病だと想う。
先日、甥夫婦と晩御飯を食うのに元町駅で待ち合わせた。
先について時間があったので、駅近くの行きつけの眼鏡屋を覗く。
あれこれ眺めていると甥からメールが。
「俺、もう駅に着いてるんだけど、オジちゃん今どこ?」
「あぁ、そうなん、いつもの眼鏡屋にいるわ」
「えぇ!またぁ!いい加減にしろよ!で、買ってんの?」
はい、そうです、買ってしまってます、ごめんなさい。
それが、これ。
“ LINDBERG ”
一九八〇年初頭、Denmark で生まれた。
眼鏡の frame は、重くて硬くて不快な枠を顔にのせているようなもの。
顔を枠に合わせようとするのではなく、枠を顔に合わせてはどうか?
Danish 人 眼鏡師 Paul Johan Lindeberg と建築家 Hans Dissing のふたりは、そう発想する。
発想実現のため世界初の組立方法を発案し、そこから革命的な “ Air Titanium ” が生まれた。
Titanium を三次元に折曲げたり伸ばしたりする複雑な工程を重ねていく。
結果、ネジやリベットが存在しない独特な構造を持った眼鏡へと仕上がる。
その frame 重量は僅か1.9g で世界最軽量。
しかし、僕がこの眼鏡を選んだ理由はこれだけではなかった。
リムに使用されている Cellulose Acetate 素材の古典的な雰囲気が不思議と合っている。
最新の Titanium 素材との対比が絶妙で美しい。
最小限の構造で最大限の機能を実現する北欧眼鏡工房 LINDBERG 。
良い眼鏡だと想う。
いつもの眼鏡店のいつもの女性店長。
彼女の眼鏡への偏愛と知識も半端なく、自身も眼鏡収集家だ。
「䕃山さん、滅茶苦茶似合ってますよ、それ」
いや、そういう事じゃなくて、似合ってなくても買うんですけど。


