四百八十七話 まさかの同居人! 其の弐

四百八十六話からの続きです。
得体の知れない同居人との闘いは、その後二〇日間に及んだ。
その間ずっと海辺の家に居たわけではないが、離れていても気になってしょうがない。
なので、頻繁に通う。
どうやって追い出すか?
そもそもどんな性分の輩なのか?
鳴声だけが頼みなのだが。
それぞれを聞き分けて、何匹いるのかがわかるほどに耳慣れてもいない。
ただ、家にはこどもだけが居て、親は通いで育てているらしい。
こうして正体も何も分からぬままに、捕獲及び撃退作戦開始!
まず庭師を呼んで、親が出ていった隙に床下の通気口をステンレス製の網で塞ぐ。
授乳の時間帯は深夜から明方のようなので、作業は夕方に終えて様子を窺う。
草木も眠る丑満時。
ガサゴソ、バタバタと、明らかにこどもの動きとは異なる音が響く。
親だ!
どうやって侵入したのか?
翌朝、塞いだ通気口を見にいく。
ステンレス製の網は、見事に引き破られている。
ふ〜ん、なかなかやるもんだ。
今度は、大きな座金に変え壁に網をネジ留めした。
さらに、網の前面にレンガとブロックを積む。
結果は?
レンガやブロックを蹴散らし、網も破られ、こどもは腹一杯乳を飲んでご機嫌で騒いでいる。
くそ〜、なめやがって!
こうなったら、こっちもガチだ!
二〇キロ近い重さの礎石四枚を、網の前面に敷く。
勝敗は?
完敗!!!
さすがに蹴散らされてはいないが、引きずるように礎石はどかされ、網は破られ侵入。
二〇キロ近い礎石を動かせる腕力を備え、床下を這い、内壁を登り、天井裏をゆく。
こいつ、ほんとにイタチなのか?
もう、ここまでいいように振舞われると。
ホモ・サピエンスとしての誇りは打ち砕かれ、マジで怖い。
これは、庭師だけでは手に負えない。
大工も投入して、家を潰す覚悟で戦いに臨んでやる!
棟梁を含む大工三名が参戦。
イタチですかぁ、大変でしょ、寝れないですよねぇ、まぁ、追出すしかないですよね。
とか、余裕ぶっこいていた大工に、携帯で撮った侵入路の写真を見せた。
えっ?これ何者?こんなもの動かせるイタチなんかおらんでしょ?怖ぁ〜!
おいおい、腰引けてんじゃねぇよ!おたくらが、最後の砦なんだよ。
遂に、これが最終決戦だ。

続きは、四百八十八話で。そして、その正体を撮った姿をお見せします。

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