三百六十八話 ISSHOW

ISSHOWとは。
衣装? 一升? 一笑?
そうじゃなくて、“ 一生 ”ということなんだそうです。
Numero Uno 小沢宏氏の新たな試みで、新たな商品群の名称です。
“ 一生モノ ” なんて言葉は、店屋の黴臭い殺し文句に過ぎないだろうけど。
服飾の世界に於いて、ほんとうにそんなものが存在するのだろうか?
小沢氏は、あらためてそう問いなおしたらしい。
そして、その答えが、性別・年齢・嗜好などの壁を越えたブランド “ ISSHOW ” なのだという。
小沢氏は、長年スタイリストのトップ・ランナーとして業界で活躍されてきた。
スタイリストとは、時代の流行をいち早く切取り映す稼業だろう。
“ 流行 ” と “ 一生モノ ” は、水と油みたいなもので混ざらないようにも思う。
しかし、そこを敢えて試みたというところが興味深い。
“ ISSHOW ” は、デニム・アイテムを中心に構成されていて。
そのほとんどを Rigid と Aging で仕上げている。
とすると。
小沢氏の狙いは、“ 一生モノ ” という不確かな存在を疑似的に体験させることにあるのかもしれない。
デニム・パンツに、オックスフォード・シャツに、スウェット・ウェアに、サーマル・T-シャツに。
後は、一着のワーク・コートがあるのみ。
素材も型も色も最小限にとどめられてあって。
Necessary Clothing という必要最小限の服を、“ ISSHOW ” は提唱している。
中核となるデニム素材は、
備後井原産地の岡本テキスタイルが “ ISSHOW ” のためだけに生産するらしい。
シルェットや仕様にも緻密な気が配られている。
申し分のない話だと思う。
だけど僕は、いくら疑似的と言われても服飾の “ 一生モノ ” なんて言葉を鵜呑みには出来ない。
という次第で。
Musee du Dragon では、“ ISSHOW ” のデニム・パンツをベースにしたこれをお勧めいたします。
本来の “ ISSHOW ” からは、ちょっと外れるかもしれませんが。

本末転倒の逸品です。 

 

 

 

 

 

 

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