二百三十話 初のIMAX

危ねぇ〜、もうちょっとで見逃すところだぁ。
なんだかんだと忙しくて、なかなか劇場に足を運べないでいて。
先週になって、ようやく観れました 。
“ STAR TRECK Into Darkness ”
それも、念願の IMAX で。
恥ずかしながら、初です。
自宅から車で、北に一〇分ほど走れば IMAX を備えた劇場があるというのに。
場所によっては、これから観るという方もおられるし、DVDでという方もおられるだろう。
なので、物語の中身については、あまり話さないでおきます。
それにしても、この IMAX って、なかなかの代物ですなぁ。
御客さんから訊いてた評判では、口上ほどでもないって話だったけど。
俺、これ以上の臨場感は、もう結構だわ。
観終わった後、身体が固まってたくらいに充分過ぎる効果だった。
俺等世代は、こういった仕掛けもんには、体質的に弱ぇからなぁ。
3Dで、 “ Pacific Rim ” を観るか、“ Star Trek ” を観るかとなると。
今時なら断然 “ Pacific Rim ” なんだろうが、僕は、やっぱり “ Star Trek ” になる。
幌馬車隊が西部の荒野を行くのが、幌馬車が恒星間宇宙艦に、行き先が宇宙に置き換わっただけ。
この昭和的で単純な構想が、錆付いた頭には、違和感なく心地良く浸透するのだ。
当時、友達の間では、James Kirk 船長は、転送装置を使って女風呂を覗いていると噂されていた。
この件を真剣に検討した結果、通信士官 Uhura は、絶対 Kirk 船長に裸体を見られているとなって。
提督から大佐へと降格されたのも、実はそのせいだと信じられていた。
小学生にとって “ Star Trek ” の主役は、助平な James Kirk 船長ではなくMr. Spock 副船長なのだ。
初代 Mr. Spock を演じた Leonard Nimoy は、もちろん名優中の名優だが、それだけの人ではない。
監督業も務められていて、“ Star Trek  The Search for Spock ” ではメガホンを取られている。
本編でも、新旧 Mr. Spock が揃うワン・シーンが仕込まれていて、Nimoy の顔が大映しになる。
あぁ〜、やっぱり爺になっても、耳の尖った Leonard Nimoy は良いわぁ。
しかし、この我らが Mr. Spock を完全に喰ってしまった役者が、本作には登場している。
悪役の Khan を演じた Benedict Cumberbatch。
BBC 製作の “ SHERLOCK ” の Holmes 役で、圧倒的な演技力を披露したあの俳優です。
“ Star Trek ” でも、まるごと持っていった感がある演技で圧倒している。
作品全体を覆う Darkness な空気感のほとんどは、この人が発していたんじゃないかなぁ。
ほんと、見事です。
ところで、この種の映画を観終わった後、いつも想う事なんだけど。
Space Fantasy 領域では、邦画は洋画に敵わないと思い知る。
予算や撮影技術以前に、なんと言うか、センスの問題が大きいような気がする。
Stanley Kubrick 監督の名作 “ 2001 : Space Odyssey ”
一九六八年以降、Space Fantasy での白を基調とした無機質な描写は、ハリウッドに定着してきた。
この様式化された映像美は、とても洗練されていて、これからも磨かれていくだろう。
僕は、これはもう、ひとつの伝統美術と言って過ぎないと思っている。
⎡米国の伝統的様式美とは何か?⎦というような皮肉めいた問掛けに。
⎡ SPACE FANTASY ⎦と答える米国人美学者が出てくるやもしれない。

それはそうと、皆さん、転送装置を手にしたら、なんに使いますか?

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