六百三十三話 東郷梨

夏も過ぎようかというこの時期、決まって届けてくれるのを待っている。
送り主は、鳥取の従姉妹。
出荷元は、鳥取県湯梨浜。
届け物は、東郷二〇世紀梨。
毎度しつこく箱に添えられてくる冊子にはこうある。
二〇世紀梨は町の文化であり、主要産業であり、象徴であって、民の誇りでもある。
どんだけの梨やねん!と、思わぬでもないが確かに美味い。
昨年の今頃、届いた数を食い尽くし、自ら選果場に連絡し送ってもらったほどに美味い。
二〇世紀梨には、収穫時期によって食べ頃が三通りあるという。
八月初旬の鮮やかな緑色の梨は、早熟の酸味がすっきりと口に広がる。
九月上旬のやや黄色味がさした梨は、熟度と甘味の均衡がとれた味わい。
九月下旬の淡黄色となった梨は、熟度と甘味がともに極まる。
好みは、ひとそれぞれだが、僕は、緑色が残っている間が最良の食べ頃だと思う。
シャキッとした歯応え、特有の酸味、この清涼感は他の果実ではなかなか味わえない。
そんな東郷梨は、少し冷やしてそのまま食うのが一番美味しいのだろう。
だが、こんなにあるんだから、数個ひと工夫凝らして食うのも悪くないかも。
梨に合う酒といえば Rum か Gin だが、Cocktail で飲むのは勿体無いし、西洋梨でもまかなえる。
なんかこうもっと東郷梨を活かして食う術はないものか?
そこで、これ!
“ 梨と葡萄の Rum 酒サラダ ”
梨と葡萄に Coconut Oil と Rum 酒をまわしかけて全体を混ぜるだけ。
だけと言っても、やるの嫁だけど。
そして、庭に生えてる Rosemary と Mint を添えるとよりそれらしく仕上がる。

さらに、その嫁の薦める皿をもうひとつ。
“ Prosciutto e Pera ”

ベビーリーフを敷いて、生ハムと梨をのせ、ナッツをふりかけ、岩塩と胡椒を施す。
最後に Coconut Oil を上からかけて、檸檬を搾り出来上がり。
残暑に喘ぐこの季節にふさわしい爽やかな一皿に仕上がっております。
奥様、ひとつお試しください。

ということで、また来年お待ちしております。お気遣いありがとうございました。

 

 

 

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