四百九十九話 博多千年煌夜

霜月の初日。
博多の鎮守古刹が粋な灯に包まれる。
煌夜に浮かぶ十二の寺社を、博多っ子は巡って夜長を過ごす。
そこに物見のよそ者も加わるのだから、賑わいはちょっとしたものだ。
この博多千年煌夜と名付けられた催事は、難しい神事や仏事に由来したものではない。
秋の夜長に飲んだり食ったりしながら灯りを巡れば楽しいんじゃないの?
ただそれだけの話である。
「よか?」「よかよか!」
博多弁は短く、博多人は素早い。
そうと決まれば、寺社は場を、町衆は労を、商人は銭をといった具合にあっという間に事は進む。
そして、その仕上りは半端ない。
なので、ちょっと覗いてみることにする。
実は、この日が博多千年煌夜初日とは知らずに訪れたものだから。
飯屋の予約もあって、十二の寺社すべてを巡っている余裕はない。
で、博多っ子にお薦めを訪ねてみた。
「みんながよう見よるんは此処と此処やけん」
「 うちも去年見よったけん、ばり良かったったい」

萬松山 承天寺

南岳山 東長寺 

おねえちゃんのお薦めを堪能して。
中洲川端の名店 「 いろは 」 で博多名物水炊きを堪能して。
中洲をぶらつきながら、博多の守護へ。

博多総鎮守 櫛田神社 

夏、博多祇園山笠の曳山は、ここ櫛田神社から博多の街へと駆け出す。
まさに博多人の矜持を象徴 する聖地である。
すべてを町衆が取り仕切る街、博多。
これほど見事に自治を貫いてきた街は他所にはないと想う。

博多は、ばりよかとこです。

 

 

 

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