三百七十五話 日本の夏

日本の夏は半端ない!
日本駐在を経験した外国人のほとんどがそう言う。
“ Summer in Japan is hot and humid. ”
そして、hot (暑さ)よりも humid (湿気)の方が堪え難いのだそうだ。
昔、東京に赴任してきた独逸人がいた。
そのひともまた、初めて体験する日本にうんざりしていた。
ちょっと可哀想でもあり、大口の取引先だったこともあって、日本の夏装束を贈ることにする。
“ This article is the traditional home-wear ”
“ What is called a ‘ JINBEI ’ in our country ”
近江産本麻生地の甚平である。
陣羽織に筒袖が付いたような甚平の歴史は意外と浅く大正時代で、発祥は大阪だと聴く。
独逸人社長は、この異国の夏装束をいたく気に入り、着てはならない場所でも着ていたらしい。
独逸人だけじゃなく慣れた日本人にとっても、この国の夏を厳しく感じることがある。
流行がどうのとか、嗜好がどうのとか、正直どうだって良い。
そう思うことがある。
歳を喰うとさらに我慢が出来ない。
かといって、おっさんのタンク・トップ姿はもはや犯罪行為に等しい。
そう考えると、Musee du Dragon 的に苦手な服種だと承知してはいても手を出さざるをえなくなる。
半袖シャツに短パンという鬼門アイテム。
どうせ売れないのだからという投げやりな気持ちがある。
一方で、そこをなんとかするのがプロだろうという意地もある。
そうして選んだのが、これ。
素材は、甚平と同じく麻。
TARTAN・GINGHAM・STRIPE といった伝統柄がプリントされていて。
さらに、それぞれの柄の名称が胸に刷り込まれている。
ちょっとヤケクソ感も否めないが、なかなかに小洒落ていると思ったりもするのだが。
一言言い添えておきます。

買ってください!マジです!

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