百三十一話 私的 Layered Style

まぁ、僕がどんな格好をしようと皆さん興味もないでしょうが。
承知でちょっとご紹介させていただきます。
気温が下がる度に一枚づつ重ねて着ていこうというセコい発想が基本になっている。
俗に言うところの Layered Style である。
服屋だから自分の風体に構うかというと意外とそうでもなかったりする。
料理人が家庭で飯を作らないのと似ているかもしれない。
でも今回はちょっと工夫してみた。
写真ではわかりづらいけど全てのアイテムの表面感が極端に異なっている。
一番上に羽織る roar のマウンテン・パーカは化合繊素材で表面はツルツル。
ボトムには 08sircus のパンツを履く。
素材は英国羊毛ツイードでガシガシしている。
また生機の状態で縫製されており液剤を使わずに職人の手作業で一本一本シワ加工を施してある。
加えてこのふたつのアイテムに関しては、
ハイテクと天然とで産まれは違っているが悪天候から身を守ってくれる機能が備わっている。
マウンテン・パーカの下には同じく roar のフード・パーカを着る。
素材は超ヘビー・ワッフルでアウターにもインナーにも使える。
ワッフルだからデコボコした面になっている。
その下はT-シャツじゃなくてシャツを。
Over The Stripes シャツはコットン・フランネル素材でフカフカ。
チェックに白いドットが飛んでいて、そのドットの正体は “ Happy Face ”
最後にインナーはコットンとレーヨンとポリエステルの混紡天竺でテロテロした風合い。
テカテカ・ガシガシ・デコボコ・フカフカ・テロテロ。
見た目も肌触りも全く異質なアイテムを組合わせてひとつにまとめる。
Outdoor・Traditional・Punk ・Army と出所もブランドも異なる。
それでいて普通な感じでしょ?
そしてさらに寒くなれば去年買った Over The Stripes のムートン・ヴェストを重ねる。
これで不肖私の Layered Style 完成です。
で何んでこんな面倒臭い話になってるかというと。
そもそもこのツイード・パンツはスーツの組下だった。
当然スーツで着る腹づもりだったのが、上のジャケットをちょっと目を離した隙に誰かに獲られた。
誰かって当然御客様で、獲られたっていうんじゃなくて御買い上げいただいたんだけど。
有難い話で文句も言えないので何とかツイード・パンツを中心に考えてみたのがこのスタイルです。
余談になるが。
大体において僕の着る服からはそれぞれのブランド・アイコンが取り払われている場合が多い。
このマウンテン・パーカーも僕の分だけ背中の Cross Gun が無い。
何故かっていうとroar の濱中君以外のデザイナーと会う時気にする奴もいるかもしれないから。
よく訊かれるけど他に理由はないよ。
これでもそれなりに気を遣って生きてんだよ。

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