百六十六話 それ行けダイワニャン!

Musée du Dragon は大阪駅前のビルの地下一階に在る。
このビルが建った時から在るのでもう三十七年ほどになるかもしれない。
ビルも古いが、先代から数えると店も古い。
ビルの名前は “ 大阪マルビル ” といって地上部は宿屋になっている。
立地は良いのだが、これと言って何が優れているという訳でもない。
別に移転しても全然構わないのだが面倒なので此処に居る。
数年前、ビルの所有者が変わった。
新オーナーとして登場したのが御存知⎡ダイワニャン⎦です。
⎡ダイワニャン⎦はとても偉いのだ。
⎡ダイワニャン⎦はお金を沢山持っている。
⎡ダイワニャン⎦は何だってできて、⎡ドラエモン⎦の親戚みたいに頼もしい。
その⎡ダイワニャン⎦が、この海苔の缶みたいなビルを緑で覆うと言いだした。
⎡さすがだぁ、偉い、偉いぞぉ〜ダイワニャン⎦
なんだかんだ綺麗事並べても所詮銭儲けだけの品性を欠く界隈の開発。
そんななかにあって、一文にもならない巨大壁面緑化計画をぶち上げた。

どっかの借金達磨の建替えとは違って、懐に余裕がある⎡ダイワニャン⎦は考えにもゆとりがある。
都心部の壁面を緑化するという発想は数年前から欧州で具体化されてきた。
一枚目の写真のように巴里でも盛んで、美しい壁面景観は街に馴染み住人を和ましてくれている。
巴里を訪れて通りがかる度に、⎡良いなぁ〜、羨ましいなぁ〜⎦と思っていた。
しか〜し、⎡ダイワニャン⎦のプロジェクトは、そんなチンケな代物ではない。
高さ一二〇メートル、直径三十メートルの世界に例をみない巨大な緑に覆われた樹木なのだ。
発案者は、建築家の安藤忠雄先生だが、事の成否は⎡ダイワニャン⎦に委ねられている。
⎡ダイワニャン⎦
成熟した大人の “ Landscape Architecture ” の正しい姿を浪速の民に見せてくれ。
そうすりゃ、この街の景色もちょっとはましなモノになるだろう。
幕が張られトンカン、トンカンと工事現場で仕事しているようなもんだが。
店内では別に影響ないし、な〜んの文句もありませんよ。
そんなことより、良いものを創ってくれ。
頑張れダイワニャン、それ行けダイワニャン!

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