三百五十話 Boy Scouts Shirts がこんなことに? 

知らなかったけど、嫁は Girl Scouts だったらしい。
「マジでぇ? 協調性の欠片もないのに?」
「あのねぇ言っとくけど、五歳からで Brownie にも所属してたんだからね」
「Brownie って、あの英国の座敷童子みたいな奴?」
「まぁ名称の由来はそうだけど、Girl Scouts の子供版みたいなもんよ」
説明がざっくりしていて、今ひとつよく解らないが。
どうやら、昔は誰とでも仲良くできる良い子だったと自慢したいらしい。
暇だったので、ちょっと調べてみた。
一九一二年に米国で創設された Girl Scouts は、英国の Girl Guides を母体としているらしい。
こちらは一九〇八年に発足した Boy Scouts に習って、その四年後創設者の妹が始めた団体だという。
いづれの組織も少年少女訓育を目的としている。
活動の基本原則は「約束」と「掟」なのだそうだ。
人種・国籍・宗教の差別なく幸福で社会に貢献する人間の育成を目指していると定められている。
これを読んで、筋金入りの Girl Scouts だと言い張る嫁を見て思った。
“ だけど今では PUNKER じゃん ”
まぁ、ひとは変わるもんだから仕方がない。
さて、この崇高な精神を宿した組織に属した連中が纏う制服がある。
なかでもよく知られているのが、Boy Scouts Shirts だろう。
Boy Scouts の創設者 Baden-Powell 卿は、Boer 戦争の英雄で生粋の軍人であった。
だから、Boy Scouts の制服は軍服に近く、卿が組織した南アフリカ警察隊の制服を基本としている。
判別章も、いい加減に張付けられているわけではなくて。
左袖肩には所属団体の所在地と団号数、右袖肩には判別章、左胸ポケットには進級章、
右胸ポケットには大会参加章、左袖の団号章の下には班長章などといった具合に定められている。
こういった由来や個々の履歴も付加された Boy Scouts Shirts は、
ビィンテージ市場でも安定的な人気を誇っている。
そんな Boy Scouts Shirts を解体して、別のアイテムに仕立て直そうと試みたひとがいる。
NUMERO UNO の小沢宏さん。



四着の Boy Scouts Shirts から独自の Remake Work で Mountain Parka を生みだしている。
その完成度が半端なく高い。
なにより、Boy Scouts Shirts から Mountain Parka へという発想が奇天烈で面白い。
やっぱり、この手の仕事はオヤジの方が練れてるなぁと改めて感心した。

いや、第一線のスタイリストとして君臨し続けてこられたキャリアを讃えてという話ですよ。


 

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