海辺の家の裏手で生まれて、今は丹波篠山の山里に暮らすおとこがいる。
おとこは猟師で、猪や鹿や熊など獣を獲るのが稼業だ。
若いが、猟師としての腕は良いらしい。
仲間内での呼び名は、カーリマン。
優れた体幹を備え、見た目も良く、講演などもこなす口も達者だ。
数年前にちょっとした縁で知りあった。
お陰で、海辺の食卓に山の幸が加わるようになる。
この鹿肉のソーセージをはじめ、春先の脂が少ない猪肉は炭火で焼いて焼肉に。
熊肉はそぼろにして丼物でと野趣な彩りを食卓に添えてくれる。
ある時、カーリマンから狩猟法について教えてもらう。
「食肉として用いるものは、全て罠猟と決めているんです」
「でないと、血が巡ってしまって臭みが残り旨くないんで」
「ってか、食肉以外で獲ることあるの?」
「そりゃぁ、頼まれれば駆除とかで、その際は銃で撃ちますけど」
「その後の毛皮と骨は、こんな風にして残します」
鹿と思われる数枚の毛皮と白い頭蓋を見せられた。
「ヘェ〜、綺麗なもんだねぇ、欲しいかも」
「マジですか、じゃぁ、今度、骨を傷つけず一発で仕留めてきますよ」
一年後、届いたのがこれ。
眉間中央に一発の銃痕、歯の一本も欠けていない完璧な鹿の頭蓋。
凄腕の成せる仕業で、仕上げも完全オーガニックなのだそうだ。
早速、海辺の家の壁に飾ってみる。
欧州では、鹿は崇拝の対象、神の化身、英雄的な探求の象徴として館に飾る習わしがある。
逆に、風水では、骨は死の象徴として嫌われるらしい。
まぁ、どっちも信じてないから問題ないけど。
丁度、隣家に暮らす嫁の幼馴染が、スワッグをクリスマス用に創って持ってきてくれた。
彼女は、人気のフローリストとして活躍している。
で、合体させたのが、これ。
これで、良いクリスマスになります。感謝!