月別アーカイブ: September 2013

二百三十話 初のIMAX

危ねぇ〜、もうちょっとで見逃すところだぁ。 なんだかんだと忙しくて、なかなか劇場に足を運べないでいて。 先週になって、ようやく観れました 。 “ STAR TRECK Into Darkness ” それも、念願の IMAX で。 恥ずかしながら、初です。 自宅から車で、北に一〇分ほど走れば IMAX を備えた劇場があるというのに。 場所によっては、これから観るという方もおられるし、DVDでという方もおられるだろう。 なので、物語の中身については、あまり話さないでおきます。 それにしても、この IMAX って、なかなかの代物ですなぁ。 御客さんから訊いてた評判では、口上ほどでもないって話だったけど。 俺、これ以上の臨場感は、もう結構だわ。 観終わった後、身体が固まってたくらいに充分過ぎる効果だった。 俺等世代は、こういった仕掛けもんには、体質的に弱ぇからなぁ。 3Dで、 “ Pacific Rim ” を観るか、“ Star Trek ” を観るかとなると。 今時なら断然 “ Pacific Rim ” … 続きを読む

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二百二十九話 竹ヶ原敏之介の云う “ ROYAL PUNKS ! ”

この稼業には、潮目というのがあって。 読み間違えると怪我をする。 悪くすれば、息の根が止まったりすることも珍しくない。 潮目とは、流行と同義であって、多様化する世ではたいそう予見し難い厄介な代物なのである。 しかも、一年先の潮目となるとさらに難しい。 一年ほど前。 さて、どっちに舵を切ろうかと悩んでいた。 そんな時、Authentic Shoes & Co. の竹ヶ原敏之介君が口にした一言が、妙に引掛かる。 “ ROYAL PUNKS ! ” 当然、 彼のことだから靴の話なんだろうけど、この言葉に賭けてみようか。 Musée du Dragon は、もともと LONDON 在住のデザイナー達と一緒に始めた店屋である。 “ SCIENCE ” の Tim、“ MAHARISHI ” の Hardy、“ JAS MB ” の Jas、“ NIGEL … 続きを読む

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二百二十八話 花街の路地裏食堂

前回からの続きです。 色気から食気へと、神楽坂の夜は更けていく。 神楽坂は、坂に沿って各国各種の料理屋が軒を連ねる水商売の激戦区だ。 膝が抜けるほどの敷居の高い料亭から、立ち飲み屋まで、格式や料金もピンキリで犇めいている。 多くを見知っている訳ではないが、気に入って通う店屋が数軒あるにはある。 和食なら “ 神楽坂 けん ” とか、甘味処なら “ 紀の善 ” とか、BAR なら “ 神蔵 ” とかいう具合なのだが。 しかし、欠かせない一軒となれば、やっぱり此処に足が向く。 “ Le Clos Montmartre ” 今時、日本で仏人が営む仏飯屋なんぞ珍しくもない。 こういった店屋に、ありがちな勘違いが、ふたつほどあるように思う。 ひとつは、徹底的に仏であることを売りにする店屋。 黒髪の平べったい顔をした給仕人が、⎡ Oui Monsieur ! ⎦ とか返事したりなんかする。 あんたも日本人だし、俺も日本人だし、何処にも仏人いねぇじゃん、それに此処日本だから。 いまひとつは、無理矢理でも日仏融合を図ろうとする店屋。 “ 禅 ” … 続きを読む

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二百二十七話 色香漂う江戸の巴里

夏も終わろうかというのに、暮れてもまだ暑い。 そんな晩夏、久しぶりに神楽坂に宿をとる。 やっぱり、いつ訪れても此処は良い。 葡萄蔓のように路地が絡まっていて、その路地裏に料理屋や居酒屋がポツリポツリとひっそり在る。 路地の薄闇に、店屋の灯が妖しく揺らぐ。 その風情がまたなんとも良い。 坂を登って、中程を左に折れ、石畳を少し往くと、細い路地に面した小さな銭湯に出逢う。 “ 熱海湯 ” と浅葱色の下地に白く抜かれた暖簾が揺れている。 懐かしい昭和の浴場が、そのままに住人の営みに寄添って在る。 はす向いでは、古びた一軒屋で牛乳屋が営まれていたりして。 だが、此処は、下町の爺婆が集う界隈ではない。 夏の夕暮れ刻。 浴衣姿で、うなじの汗に手拭をあてながら湯浴みに向かう姐さんや。 鴉羽色の濡れた髪を拭いながら、お座敷支度へと急ぐ襟かえ前の舞妓さんとすれちがう。 夏化粧では、崩れを抑えるようにと硬めの鬢付け油を髪だけでなく顔にも用いる。 その鬢付け油の残り香が微かに香る。 お座敷とは違った風情の色香が路地を抜けていく。 日本にしか香らない、花街にしか香らない、その色香で夏を知る。 粋なもんだよねぇ〜、花代もかかんないし。 この街に惹き付けられて住人となり、棲み就く外国人達がいる。 仏人の、中でも巴里人のこの街への憧れは強く、実際多くの在日仏人が住む。 この街は、巴里のある地域ととてもよく似ている。 セーヌ川右岸十八区 Montmartre だ。 葡萄畑へと続く坂道、毛細血管状に入組んだ路地、修道女が仕込む葡萄酒を供した居酒屋。 それだけではない。 Moulin Rouge や Le Chat Noir といったキャバレーが軒を連ねる色街でもあった。 今では観光名所となり、すっかり健全でくだらない街となった Montmartre だが。 … 続きを読む

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二百二十六話 EMPLOYEE か、CEO か、どっちにする? 

  ⎡経営者になって、なんか良い事あったぁ?⎦ ⎡そんなもん、ある訳ねぇだろうがよ!⎦ あぁ〜、三度三度餌貰って、乳でも出してりゃ済むっていう乳牛が羨ましいよ。 歳も五十を過ぎるとね、⎡こんなはずじゃなかった⎦ みたいな話が、ままあるわけですよ。 それにしても、生々しい T-SHIRTS である。 EMPLOYEE と記された T-SHIRTS を選ぶか、CEO と記された T-SHIRTS を選ぶか。 はたまた、どちらの T-SHIRTS も選ばず、プーの道を堂々と歩むか。 究極の人生ゲーム T-SHIRTS です。 大学を卒業してからのこれまでを振返ってみる。 雇われる側と雇う側で、ちょうど半分づつの人生を過ごしてきた事になる。 幸か不幸か、まだプーだったことはない。 ⎡さて、どっちが良かったか?⎦ と訊かれると。 ⎡まぁ、どっちもどっちじゃねぇの⎦ みたいな。 そんな感じかなぁ。 ただひとつ恵まれたことがあったとしたら。 服飾というものが好きで、三十数年変らずこの稼業に就いて、ここまで飯が喰えたということかも。 儲からなさそうだからとか、評判がブラックぽいからとか、斜陽産業だからとか。 自分には才能がなさそうだからとか。 諦める理由と事情は沢山あるだろう。 しかし、その程度の事は、好きだったら辛抱出来るし、なんとかなるんじゃないかとも思う。 就く稼業が、好きか嫌いかには、こだわった方が人生お得に送れるんじゃないかなぁ。 それから比べると、EMPLOYEE  か CEO … 続きを読む

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二百二十五話 世界の皆様、おもてなししちゃいます。

高円宮久子妃殿下はじめ、オリンピック・パラリンピック東京招致団の方々、お疲れさまでした。 やったね! 東京だよ、日本だよ。 やっぱり、こうやって招致が実現すると素直に嬉しいですよ。 東日本大震災で被災された方々には、それどころじゃないと言われる方もおられると存じます。 しかし、これはある意味では復興への御旗となりますよ。 二〇二〇年、日本。 ⎡未だ復興途上ではありますが、取敢えず約束したからオリンピックだけはやらせて貰います⎦ とは、日本政府も日本国民も口が裂けても言えませんからねぇ。 石に齧りついても、真の復興を成し遂げるしかなくなった訳ですよ。 僕は、幼かったのでよく憶えてはいない。 それでも、国の熱気みたいなものは、朧げながら感じていた。 一九六四年開催の東京オリンピックも、似たような戦後の気運に満ちていたんじゃないかなぁ。 そして、二度目の開催となる今回の東京オリンピック。 僕も、バルセロナの時みたく、デザインか何んかで係われたら良いんだけど。 というより、係わる気満々なんだけど。 こればっかりは、御声掛けがなければなんともしようがないし、多分無理だろうね。 ちょっと歳喰っちゃったけど、雑巾がけでもいいから声かけて。 今回は、お金頂戴とか言わないから。 それにしても、昨晩のプレゼンテーション。 日本もやるもんだね。 滝川クリステルちゃんが、あの笑顔で。 ⎡ おもてなししちゃいます⎦ って。 ⎡えっ? どんなことされちゃうんだろ? ⎦ って、爺さん連中、そりゃぁ期待するわなぁ。 さて、日本には、色気だけじゃなく、実力もあるってところ、ちょっと見せましょうよ。

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二百二十四話 洒落た “ もんぺ ”

⎡なんでも、かんでも、パンツの裾にゴム付けてんじゃねぇぞ!⎦ ⎡いやぁ〜、今期はそうもいかないでしょう⎦ それより、ゴムという年寄臭い表現は改めてください。 リブと言います。 二年ほど前だったか、08 SIRCUS の巴里展でこの仕様を見た時。 Tailored Pants のような、Sweat Pants のような。 掛けてあると “ もんぺ ” みたいだよなぁ。 正直ピンとこなかったが、目新しさもあって取扱うことにした。 そして、試しに自分でも着用してみると。 これが、存外に良い。 裾リブが、下方向に適度な加重を産み、全体的なシルェットを綺麗に整える。 裾さばきが、気になるということもない。 ハイカットの靴でも、ローカットの靴でも、靴丈に左右されることもなく似合う。 それから以降、秋冬春夏と各シーズンこの仕様のボトムは好調に推移し完売する。 ⎡ “ もんぺ ” の新しいの入荷したぁ?⎦ ⎡ “ もんぺ ” って言うな!⎦ ⎡オメェが、最初に言ったんじゃねぇかよ!⎦ とやりとりされるほどに調子が良い。 なので、今シーズンからはいろんなブランドの “ もんぺ ” … 続きを読む

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二百二十三話 家電化する車

最近、嫁が車を買替えたっていう話なんだけど。 その前に、昔、嫁が車を買ったっていう話をしたい。 独立しデザイン事務所を始めて一年くらい経った頃、トヨタの担当者から電話がかかってきた。 親の代から、個人も会社も車はトヨタだったので、よく見知った奴だった。 ⎡䕃山さん、ちょっと奥様に御注文戴いてます御車の件でご相談がございまして⎦ ⎡何欲しいって言ってんの?値の高い車種じゃねぇだろうな?⎦ ⎡いや、まぁ、車種は一応スターレットなんで⎦ ⎡ふ〜ん、こじんまりしてて良いんじゃないの⎦ ⎡本人がそれで良いって言ってんなら、それで良いよ、俺、車に興味ねぇから⎦ ⎡奥様、大丈夫ですかねぇ? ⎦ ⎡知らねぇよ!テメェんとこは、そんな危ねぇ車売ってんのかぁ?⎦ 数ヶ月後、納車日に庭先に出てみると、漆黒に塗装されて、ずんぐりと膨らんだ車が停まっている。 MAD MAX に登場する “ Interceptor ” を不細工に仕立たような車だが、妙な威容をしていて。 街中で見かけた事がない。 ⎡これ何?スターレットじゃねぇじゃん⎦ ⎡ほんとスイマセン、でも、これでもスターレットなんです⎦ ⎡なに謝ってんの?大体スターレットってこんなに大きくねぇだろ?⎦ ⎡それに、なに、あちこちに穴空けてんの?⎦ ⎡冷却口でして⎦ ⎡なんせ、ほら、これですから⎦ ボンネットを開けると、素人でも解るような獰猛なエンジンがキチキチに詰まっている。 ⎡これ、スープラの改良型エンジンです⎦ ⎡アンタ阿呆ですか?誰がこんなもん頼んだんだよ?⎦ ⎡……………………………。⎦ ⎡わたしだよ〜ん⎦ 装備された MOMO Steering や RECARO Sheet を満足気に確かめながら、嫁が応えた。 ⎡オメェ、営業として、なんで止めるように説得しなかったんだよ!⎦ … 続きを読む

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