カテゴリー別アーカイブ:

七百一話 サボテンの花

こういうのを期待して育てていた訳でもなんでもない。 朝起きて庭に出ると唐突に咲いていた。 団扇サボテンの花。 よく観ると他にいくつもの花芽をつけている。 へぇ〜、サボテンってこんな花咲かすんだぁ。 庭の片隅に地植えして、ほったらかしにしていたのに。 こんなことなら、もうちょっと目立つ場所でちゃんと面倒みてやっても良かったかもしれない。 曇天に覆われた梅雨時、雨上がりの朝に良いものを見せてくれた。 そういや、昔 “ サボテンの花 ” とかいう曲が、ドラマや CM で使われて流行ってたような。 誰のどんな曲か?全く思い出せないけれど。  

Category :

七百話 Little Gem

Florist から隣の庭に咲く花を貰う。 これって、泰山木? 泰山木は、下手をすると二〇メートル以上にもなる大木だが、これはそこまでにはならないらしい。 同じ木蓮科の矮性品種で、高さは三メートルほどにとどまる Little Gem と呼ばれる植物。 白磁器のような白く大きな花も綺麗だが、何より葉姿が良い。 葉の表は艶やかな深い緑色で、裏は Velvet 状の Bronze 色をしている。 花期も長く、初夏から秋口まで散発的に咲く。 その名の通りちいさな宝石だ。 庭を創るひとは、他人の家に咲く植物を羨んで欲しがると聞くけれど。 これは欲しい!  

Category :

六百九十九話 Giant Hornet Busters !

桜の花が散った後、新しい緑に覆われ庭全体が明るく華やぐ。 そんな季節を迎えた頃 “ 海辺の庭 ” に凶暴な使徒がやってくる。 Queen Giant Hornet (オオスズメバチの女王)だ。 絶対に負けられない戦いの幕開けなのだけど、僕は芯がやさしいので参戦しない。 眺めているだけ。 周到に罠を仕掛け、入念に毒を盛り、着実に死に追いやる。 海辺の Hornet Busters とは、我が嫁のことだ。 おんなとおんなの闘い。 怖っ! ここで、このオオスズメバチとは何者か?についてちょっと解説しておく。 スズメバチ科のなかでもオオスズメバチは世界最大級で、働き蜂でも四センチくらいの大きさ。 女王蜂ともなれば六センチ近くにも達する。 その凶暴性と毒性も半端なく、場合によっては死を招くことも。 但し、雄は毒針を持たず戦闘や営巣などの労働にも従事せずだいたいが巣の外に出ることもない。 役割は交尾専門で、行為が終われば死ぬ。 どの種に於いても、雄は哀しくやさしいいきものなのだ。 秋、働き蜂はその短い一生を終える一方、女王蜂は次の女王蜂候補を専用の育房で育て始める。 育て終えた元の女王蜂は、そこで他の働き蜂同様寿命を終え巣は消滅となる。 代を継ぐ一体だけを残し他の蜂は全てリセットされるわけだ。 女王蜂候補は冬を越すため、余分な脂肪の燃焼となる労働はせずに育つ。 独り冬眠し春になって眼を覚ます。 そして、新たな巣を作り、働き蜂の卵を産み、巣を大きくさせていく。 女王蜂は、種の継続のみを最優先し無駄な戦闘や労働はしない。 よって、働き蜂のような攻撃性は低いと言われている。 この点に狙いをつけて登場するのが我が嫁だ。 女王蜂が、目覚めてから営巣に着手する四月中旬から五月下旬までの期間に葬り去ってしまおう。 冬眠直後の女王蜂は体力が落ち行動が鈍く、加えて営巣に気を取られ警戒心が散漫になっている。 さらに、腹が空いているので容易に餌にも食いつくだろう。 ここしか仕掛けた罠によって根源を断つ機会はないと言い切る Hornet Busters の嫁 … 続きを読む

Category :

六百九十七話 桜の盛り

今年も海辺の庭に咲く桜。 五分咲くらいの今が一番綺麗なように想う。 すっかり老木で姥桜の類だけれど、老いてなおお盛んな様子でなによりだ。 咲き始めの頃ちょうど満月で、米国の先住民たちは Pink Moon とか呼ぶのだそうだが。 こうした月夜の桜も色気があってなかなか良い。 まぁ、大年増も捨てたもんじゃないわ。      

Category :

六百九十話 春一番

仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙というらしい。 海辺の庭にもある。 なんの世話もしたことがなく、普段どこに植わっているかを気にすることもない。 それでも、冬の終わり頃になると寒風に揺られながらこうして庭のあちらこちらに咲く。 いろんな奴がいて。 なかには、花内側にある盃形の副花冠が白いのもいる。 洋の東西を問わず春を告げる花として世界中で愛される水仙。 “ 春一番 ” もうすぐ春ですねって、古るすぎてわからんかなぁ。    

Category :

六百六十五話 Banana

近くに建つ老夫婦が暮らされている古館。 北側の裏庭に立派な芭蕉の木が育っている。 昔は、よく手入れされたお屋敷だったが、いつの頃からか家も庭も少し荒れた感じに。 ずいぶん前に焼杉だった外壁も一部鋼板に囲われてしまった。 頑張って手を尽くしてみても、刻と歳には勝てないのかもしれない。 だけど、それでも僕は、窓から見えるこの御宅が好きだ。 駅前の高級タワー・マンションなんかより、よほどに美しいと想う。 晴れた夏の盛り。 夕刻、海風に吹かれた芭蕉の葉が揺れながら強い西陽を遮る。 雨の日は、雨樋みたく大きく広げた葉を伝って地面に雨水が流れ落ちる。 そして、花が咲き滋養豊かな実が房となって実る。 長い年月、家屋と共に役割を担いながら老いた家人の営みを見守っていく。 この古館と芭蕉との似合の風情は、こうして育まれたのだろう。 こんな想いを抱きながら、朝に夕に眺めていたのだが。 いつまでも指を咥えて眺めていてもしょうがない。 ってことで、芭蕉( Banana ) の木を育ててみることにした。 とりあえず、小さめの Dwarf Monkey Banana で我慢しとくかぁ。          

Category :

六百六十一話 月桃が咲く頃

ようやく海辺の家への引越と片付けを終えた。 まだ、各種手続やら何やらは残っているものの日常は戻りつつある。 この二ヶ月ほどできるだけ庭は見ないようにしてきた。 庭仕事をやる余裕も気力もなかったから。 途中、Garden Gypsy 橋口君と高知在住の Surfer が多肉植物用の石を積みに来てくれたけど。 積み終えるだけ積み終えたら帰っていった。 なので、二ヶ月ほど庭はほったらかし。 この時期二〇日以上放置すると、葉は茂り、雑草は蔓延り、もはや庭とは云えない有様となる。 今朝、庭に出てその有様を目の当たりにした嫁が。 「ヤバくない?」 「あぁ、ヤバイな」 「どうすんの? Gypsy 呼ぶ?」 「いや、奴も忙しそうだから、ボチボチと俺がやるわ」 「この暑さの中? 死んじゃうかもね」 どこから手をつけたものか? 思案しつつ眺めていると、塀際に見慣れぬ白いモノが眼に入った。 「えっ? これって、月桃の花? 遂に咲いた?」 「嘘でしょ? マジでぇ! 咲くんだぁ、これ!」 花の蕾が桃のように見えることから、漢名で “ 月桃 ” という。 台湾や印度原産の熱帯植物らしい。 日本では、沖縄で自生しており生活に密着した生姜科の薬用 Herb として広く知られている。 もう三、四年前になるかもしれない。 “ 月桃 … 続きを読む

Category :

六百五十七話 German Iris

すっかりご無沙汰してます。 今年は、正月もなく、花見の宴も開かず、おとなしく毎日を暮らしています。 先日、海辺の庭の “ German Iris ” が蕾をつけた。 嫁が庭でもっとも大切にしている新種の Iris で、毎年咲くのを楽しみにしている。 その貴重な一本が無惨な姿に。 蕾をつけた茎は真ん中から折られ、芝生に転がっていた。 おそらく犯人は、顔見知りの野良猫なんだろうけど、よりにもよってこれを狙うとは。 まったく命知らずの暴挙にでたもんだ。 見つけた嫁は、もう怒髪天。 「なんてことを!どういうつもり?アイツ絶対に許さない!」 まだアイツと決まったわけでもないのだが、一旦アイツとなったらもうどうにもならない。 顔見知りのまぁまぁ可愛い顔をした野良猫を出禁にし、折れた Iris を拾って台所に。 Grappa の空瓶に水をはり茎をさして、開花させるつもりらしい。 「この状態じゃぁさすがに咲かないんじゃないの?」 「いや、わたし負けないから!」 もはや、Iris はわたしに、問題は勝ち負けになったようだ。 その後、水を換え適度な日当たりで世話してると、三日目に見事に咲いた。 「良かったよなぁ、なんとか咲いて」 「うん、それにしてもアイツ!」 咲いたからといって、許されるものではないらしい。

Category :

六百四十五話 花終わり

梅はこぼれる、椿は落つ、牡丹はくずれる。 そして、桜は舞う。 この国では、花終わりを惜しんで愛でる感性を、古来より育んできたのだと想う。 海辺の庭に咲く姥桜。 風に吹かれ雨に打たれた翌朝、曇天に舞って散る。 今年の桜もそろそろ見納めかぁ。 桜は、やっぱり散り際が一番美しい。

Category :

六百三十二話 台風一過

  台風七号が、海辺の家のほぼ真上を通り過ぎて一夜明けた今日。 心配してあれこれ備えたわりには、何事もなく拍子抜け。 それでも、風に煽られ引きちぎられた葉っぱや枝が、庭に散乱している。 本日は、一六日で送り盆。 日暮刻、盆の送り火を焚くのでそのままにしておくわけにもいかない。 汗だくの片付け作業を昼過ぎまで続けて終えた後。 ひと風呂浴びて、素麺を啜って、麦茶を飲みながら、縁側で吊り直した風鈴の音を聴く。 まったくもって、ただの爺いでしかない。

Category :