月別アーカイブ: October 2021

五百八十八話 庭の果実

海辺の家の庭に “ 柿 ”が生る。 隣の家の庭に “ あけび ” が生る。 持ち寄られた果実を盛ってみた。 秋だねぇ〜。 だけど、残念なことに “ 柿 ” も “ あけび ” も、どちらもそれほど好きじゃないという現実。

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五百八十七話 Chocolate Tailor

“ 海辺の家 ” のほど近くから北東に、神戸市街地を山塊が跨ぐ。 その山系の最高峰が六甲山である。 昭和の時代、この山は避暑地だった。 関西 Modernism の香り漂う洋館が点在する山上街でひと夏を過ごす。 西洋的でもあり、田舎臭くもあり、気取りのない神戸独特の別荘文化が育まれていた。 その面影もすでに消えつつあるが、幼少の頃から学生時代を通じて、何かと馴染みのある場所だ。 その玄関口が、麓にある阪急電鉄神戸線の六甲駅である。 駅近くの店屋に用があって、何十年ぶりかでやってきた。 駅舎前の垢抜けない雰囲気は、記憶にあるそれと変わりない。 とりあえず目当ての店屋を探す。 Chocolate を仕立てるという店屋が、六甲にあるらしい。 Chocolate Tailor というその謳い文句に惹かれ、何かの機会に一度と思っていた。 屋号は、“ QUEEN’S JET ”。 外観からして倫敦 Savile Row の仕立屋然とした構えで、迎えてくれる。 コロナ禍の二〇二〇年十一月二七日、この地に開業した。 緊急事態宣言中の休業を経て、この日久しぶりに店を開けたという。 正面の木製棚に、同じ形状の Chocolate Cake が、一四種類整然と並ぶ。 背面には、磨き上げられた工房が覗いている。 ここはひとつ、最近お世話になった方達への御礼の品も含めて、全てを此処で注文させてもらおう。 配送の依頼を済ませて、帰宅後早速食ってみる。 まずは、“ Opéra ” … 続きを読む

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五百八十六話 夏の終わりに、真っ白な “ T-SHIRT ” を

何を撮りたかったかと言うと、海辺の家の庭に居座る櫻でも、僕でもありません。 この真っ白な “ T-SHIRTS ” です。 櫻の葉もところどころ色づいて落ち始めたものの、残暑は衰えず暑い日が続いている。 そんななか、数枚の T-SHIRTS が届く。 誰? 送り主からのメールが届いていて、その名前で驚き、内容を一読してさらに驚いた。 Musee du Dragon の顧客様からだった。 大学生の頃に彼女と来店され、その後、卒業、就職、結婚、出産、育児へと。 その間ずっと、おふたりで通っていただいた。 そのうち奥様の腕に抱かれたもうおひとりも加わって。 結婚指輪を創らせてもらい、京都鴨川で挙げた結婚式の写真を持って報告に来られたこともあった。 店の幕を引く際には、華道家 “ 東信 ” の作品を、わざわざ東京で注文し手持ちで届けていただく。 その温情に見合う仕事が出来たか否かは疑わしいのだけれど、これは冥利だとずっと想っている。 メールの書き出しには、“ 憶えておられますか? ” の一言があった。 もし忘れていたのであれば、認知症を患ったと諦めてもらう他ないが、まだなんとか大丈夫です。 就職先は、大手の繊維会社で、同じ稼業に進まれたことは知っていた。 メールには、 この度、新しいブランドを立ち上げたとある。 また、そのブランドは、我々夫婦の “ 海辺の家 ” での暮らしが基になっているらしい。 えっ? … 続きを読む

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