月別アーカイブ: May 2017

四百八十六話 まさかの同居人! 其の壱

ようやく法人解散の手続きにも終わりが見えてきて。 海辺の家で一息入れることにした。 庭仕事を終えて床で寝んでいると。 ガサガサと音がする。 場所は、一階と二階の間にある隙間からで、明らかに何者かがそこにいる。 真夜中に得体の知れない者の音だけを聞くのは、かなり不気味で怖い。 嫁とふたりで階下に降り、一階の天井を棒でちょっと突いてみた。 ガサッという擦れるよな音に加えて、ピィーという微かな鳴声が聞こえる。 「ふざけないでよ!なに?だれ?」 「何時だと思ってんの!やめてよ!」 で、力一杯ドンドン突いた。 これが、いけなかった。 バタバタ、ギャァギャァ、近所にも響きわたる騒音に変わる。 こうなると、相手もパニックだが、こちらも相応にパニックに陥る。 ドンドン、バタバタ、ギャーギャー、明け方までずっと続く。 海辺の家で一息どころか、ここ最近の運動量としては限界に近い。 「もうやめよう」 「イタチだな、これだけやれば身に危険を感じて出ていくんじゃないの」 「とにかく、庭師を呼んで追い出して、進入路を塞げばいいじゃん」 こうした人間の浅知恵が通じるような相手ではなかった。 写真は、イタチなのだが。 固定資産税の一文も払わず、海辺の家で子を産み、不法に居座っている輩はこいつではなかった。 もっとヤバくて、厄介な無法者との長い闘いの幕はこんな感じで開いた。 続きは、四百八十七話 其の弐で。

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四百八十五話 奮闘中!

桜の花が散って。 こうして、藤が垂れてもまだ終わらない。 ほんとうに面倒臭い。 法人解散というなんの生産性も伴わない作業に没頭している。 賢い先輩から。 「そんなもの休眠させて、放っとけばいいじゃん」 まぁ、それはそうなんだろうけれど。 この法人は俺が創ったものでも始めたものでもない。 先代の親父から継いだものだから、中途半端に投げ出すのも寝覚めが悪い。 事業会社の解散も、ひとの葬儀も似たようなものだと想う。 ちゃんと始末をつけなければ。 だけど、もうちょっと楽にやれるようにならないものか? この国には九〇〇〇〇社ちかく営業実態のない会社があるというのも頷ける。  

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