月別アーカイブ: October 2013

二百三十八話 Musée du Dragon 流

まぁ、服なんて代物は、好きなものを好きに着りゃぁ良い。 だから、店屋如きが、ああ着ろこう着ろと訊かれもしないのに口を挟むのもいかがなものか。 とも思うけど、中には店屋を信用して、尋ねていただく有難い御客様もおられる。 そういった場合、やっぱり他所ではやらない合わせ方を提案出来ないと、店屋として様にならない。 なので、ちょっと試してみる。 各アイテムに、全く性格の異なるブランドを配して、ひとつのスタイルに統べてみた。 まず、ノスタルジックなヴィンテージ・ウェアを、独自の解釈で仕立ていく SLOWGUN から。 英国ツィード・ヘリンボン・ストライプ素材のステンカラー・コートと同素材のヴェスト。 コートには、着脱式のボア襟ライナーが付属されている。 そして、ボトムは、男臭い BACKLASH 。 レザー・ブランドとして認知されているが、これはイタリアン・ジャガード・ニットのパンツ。 シャツは、欧州カントリー・サイドの風情を麻素材を用いて表現する Vlass Blomme から選ぶ。 ベルギー産コルトレイク・リネンに、欧州の伝統的花柄をあしらったシャツ。 そして、〆に。 パンキッシュで、ブラックな風刺が持味の OVER THE STRIPES のストールを。 なんたって、ピンクのゼブラ柄ですから。 ヴィンテージ系に、バイオレンス系に、カントリー系に、パンク系にと。 雑な表現だが、とにかくブランドの性格はバラバラ。 柄に於いても。 クラッシック・ストライプに、花柄に、迷彩に、挙句ゼブラ柄にと、滅茶苦茶だ。 だけど、これはこれで良くないですか? Musée du Dragon 流、グランジ・スタイルなんだけど。 こういった楽しみ方も、たまには如何?  

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二百三十七話 偽りのない製品

Bologna から来日していた老舗編物業者に訊かれた事があった。 ⎡ねぇ、日本って、カシミヤ山羊飼育してんの?⎦ ⎡してねぇだろう、そんなもん⎦ ⎡でまた、なんでそんなこと訊くの? ⎦ ⎡昨日、取引先行ったら、弊社のカシミヤセーターの平均価格は三万円以下だって言われて⎦ ⎡どこの取引先?⎦ ⎡まぁ、大手の専門店だけどね、百貨店とか行くともっと安いらしいよ⎦ ⎡だから俺、日本のどっかに山羊が沢山いて、そんでもって、安いんだろうって思った訳よ⎦ ⎡日本は、世界で一番カシミヤ製品安く売られてんじゃないの?⎦ 外国の同業者からよく聞く話のひとつにこういったものがあった。 嘘か真か、確かめた訳ではないので知らないけれど。 世界中のカシミヤ繊維の収穫生産高を、日本の消費量が上回っていると言いだす奴までいた。 達の悪い冗談だが。 市場原理上、あり得ない不思議が日本にはある。 数年前、ある問題が報じられた。 カシミヤ一〇〇%とか、カシミヤ混とか、表示された製品を検査した結果について。 表示された混率よりはるかに低い率でしかカシミヤが入っていなかったり、 そもそもカシミヤなんか一%も入っていなかったりと。 まぁ、食品の偽装と違って、腹は下さないだろうけど、ひとを小馬鹿にした話には違いない。 それも場末の衣料品店での話ではない、誰もが知っているセレクト・ショップが名を連ねている。 バイヤーも、表示を信用するしかなく、悪気はなかったのかもしれない。 でもね。 ⎡表示を見なきゃ判別できないような製品は、カシミヤ素材の値打ちはない⎦ “繊維の宝石”と称されるカシミヤは、その風合いに於いて、他繊維原料より明確で、曖昧さはない。 ちゃんとした上質のカシミヤは、誰にだって判るはずだ。 大阪に、明治期創業の小規模だが名門と称されている紡績会社がある。 カシミヤ、キャメル等、高級素材開発では世界屈指の存在として知られる。 “ 深喜毛織株式会社 ” 世界最高のカシミヤの原産地は、シルクロードの時代から今も変らず内蒙古である。 その内蒙古での原料調達から、紡績、染色、織編、製品加工まで、一貫生産設備を有している。 徹底した品質管理能力は、もちろんだが、深喜毛織の魅力は、染色技術にあると思う。 原毛段階で用いられる高い染色技術は、最終製品での圧倒的な風合いをもたらす。 さらに、深喜毛織は、その特異な生産体制を駆使してコスト・カットにも乗出す。 そうして、産まれたのがこのセーターです。 驚くべき風合いと色感を纏った偽りのないカシミヤ・セーター。 08 … 続きを読む

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二百三十六話 大人流儀の PUNKS !!

あぁ〜、ようやくだわぁ。 毛皮だの、紡毛だの、口にするのもおぞましい暑さから解放された。 ったく、お天道さまに文句垂れても仕方ないけど、商売的には正直辛い。 そんな暑さも遠のいて、ようやく違和感なく冬支度を話題にできるようになってきた。 そこで、この冬の mainstream 的な話をさせていただきます。 丈の長いコートが大勢を占め、ブルゾンが影を潜める中、例外と言えばこのふたつだろうと思う。 ひとつは、Award Jacket で、日本風に言うとスタジアム・ジャンパー。 いまひとつは、 Riders Jacket で、特にクラッシックな仕様のものが注目されている。 この Riders Jacket なんだけど。 Leather を得意とする御店とかに伺うと、必ずこんな事を言われる。 ⎡格好良さを求めるなら少し小さめのを選ばれて、頑張って自分だけの一着に育ててください⎦ Riders Jacket を育てるって? 育児期間のきつくて辛いのを我慢して、乗り越えた先に良い子が育つのだと力説する。 そして、こうも言ったりする。 ⎡その過程がまた楽しいんですよ⎦ マジかぁ? さっぱり解らん。 ハッキリ言っときます。 ⎡無理です!⎦ 我慢とか、窮屈とか、大枚叩いて、なんでそんな目に合わなくちゃならねぇんだぁ。 とまぁ、そんな事情もあって、この 08 Sircus の Riders Jacket です。 … 続きを読む

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二百三十四話 BANDANA PANTS

売口上じゃなくて。 まったくの個人的な趣味というか、癖の話なんだけど。 昔から、街中で柄物のパンツを見かけると、よほどの事がない限り買ってしまう。 そのよほどの事とは、柄が東洋民族調だったりした場合だ。 これは、もう諦めるしかない。 嫁に諌められるまでもなく、自分の姿を鏡に映すと、どっかの密売人にしか見えないから。 こういう嗜好の男は、他にもいるんだろうか? この歳になるまで出逢ったことがないんだから、あまりいないんだろう。 あまりいないから、誰も創ろうとしないんだと思う。 端から売れないものを創る馬鹿はいないし、仕入れる阿呆もいない。 ただ、馬鹿でも阿呆でもないのに、こういったモノを創ろうとする人が、たま〜にいる。 “ JOINTRUST ” のデザイナー 藤田将之君。 寡黙な人だけど、良い度胸してるわぁ。 コレクション・ブランドのランウェーを舞台に経験を積んできたデザイナーだが、 今までバイヤーやユーザーに直接接触する機会はなかったと聞く。 要は、市場を体感することなく独立し、デザイナーとなった訳だ。 ⎡そりゃぁ〜、この時世で、ちょっと無理なんじゃないの⎦ 業界の玄人連中が判断するとそうなるだろう。 市場傾向を分析し、消費者の欲求を把握し、適正価格を設定して、訴求力のある製品を産む。 至極真っ当で、当たり前の話だ。 でも、それは、堅気の世界での話でしょ? 我々は、まともな市場原理が通用する堅気の世界に生きてないし、どっちかって言うと博徒に近い。 博徒が、堅気の真似することほど不細工なことはない。 だったら、市場原理なんて用も無いし、端から知らない方が良いじゃんみたいな。 自分の感性を表現出来る腕を資本に、一か八かの服創りに臨む。 そういうクリエーターは、ほんとうに少なくなったと思う。 みんな妙に小賢くなって、 気がつけば右も左も皆同じって、やってる意味あんの? そんな中にあって、この 藤田将之っていう人。 柄パン創ってくれたから言う訳じゃないけど。 職業的に、この人も、この人の創る服も、僕は好きだね。

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二百三十二話 “ PUNK の父 ” とは、何者だったのか?

  皆さん、こんばんわ。 夜更けには、肌寒く感じられる今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか? 読むと馬鹿になる、聴くと阿呆になる、“ DRAGON Blog & Music ” のお時間がやって参りました。 最後まで、適当にお付合いください。 さて、今夜は、秋の夜長に聴く至極の名盤をご紹介いたしましょう。 MALCOLM McLAREN AND THE BOOTZILLA ORCHESTRA “ WALTZ DARLING ” “ SEX PISTOLS ” の産みの親、PUNK の父、Dame Vivienne Westwood の前夫。 天才、奇人、狂人、興行師、教授、詐欺師、芸術家、反体制主義者、起業家、等と様々に評される。 だが、この人の真実は誰にも解らない。 “ Malcolm Robert Andrew McLAREN ” DCMS … 続きを読む

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二百三十一話 俺の拳銃が見えねぇのか?

⎡見えません!全然見えませんから!⎦ ⎡っていうか、もうちょっと離れて⎦ ⎡ここんとこ、細けぇもんが見えづらいから⎦ 言っとくけど。 パンツの中に仕込まれた濱中君ご自慢のマグナムの話じゃないよ。 俺、そっち系興味ねぇから。 この迷彩に “ roar ” のアイコンである Cross Gun が刻まれてるって言うんだけど。 何処に? えっ、これ? これはもう、見ろというより、探せというべきだよなぁ。 ここまで微細だと、そこに何かの企画意図があるのかと勘ぐりたくもなる。 きっとあるんだろうけど、僕は知らない。 では何故 Musée du Dragon に於いて、この Hooded Parkaを取扱うのか? その理由は、迷彩柄だからでもなく、拳銃が微細だからでもない。 ずばりシルエットで、その一点に尽きる。 だから、袖を通さなければ、ただの迷彩の Hooded Parka に過ぎない。 全く伸縮性のない Army Cloth を用いながら、ぎりぎりコンパクトに仕立ている。 筒付け仕様の袖など、随所に施された可動を維持するための工夫が、それを可能にする。 ただ細身に創られただけの単純な Hooded Parka ではない。 … 続きを読む

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