月別アーカイブ: February 2024

六百四十四話 Calla ?

九〇歳になられる友人の母親からなんか描いてと頼まれた。 「えぇ〜、なんかって何描くの?」 「これ!描ける?」 “ Calla ” の写真が携帯に送られてきた。 ちょうど都内の仏料理屋で昼食中だったらしい。 ちょうど目の前の食卓にたまたま生けてあったのが “ Calla ” だったようだ 。 そこそこ雑な注文だなぁと思いながらも。 「そりゃぁ、描けますよ、それなりの腕してんだから」 「号お幾ら?年金暮らしなんだから出来るだけお安くね」 都内の一等地で暮らし、昼から☆付の仏料理食ってる方の台詞とも思えない。 まぁでも、せっかくそう言っていただいたんだから描いてみることにする。 普段植物画を描く際は、実物を眺めて正確にそのかたちを映す。 だいたいが海辺の家の庭に咲く植物を描くのだが、あいにくと  “ Calla ” は植わっていない。 画像検索してみたところ、花の写真ばかりで葉形や根の形状がいまいち不明だ。 解説文に、葉は里芋に似ており、根は球根上部より張ると記されている。 よく解らんが、葉は里芋を参考にして、tulip 球根の上部から根を描いてみるかぁ。 おぉ、筆を進めると、なんか “ Calla ” な感じに仕上がってきた気がしなくもない。 気に入っていただけるかどうかは知らんけど、とりあえずこれで筆をおく。 お待たせしました。 “ Calla ” みたいな水彩画をお送りいたします。 おばさん、いつまでもお元気で! … 続きを読む

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六百四十三話 舞台 Odessa

今月の始め芝居を観にいく。 三谷幸喜作・演出 柿澤勇人 宮澤エマ 迫田孝也 出演。 “ Odessa ” 大阪公演初日。 中身もまったく知らず、ただ誘われるままに観た。 Odessa の地名から Ukraine 港湾都市のことで戦争に絡めた重たい話かと思ったけど違った。 そもそも舞台は、米国 Texas 州の Odessa という田舎町。 登場人物は、三人。 地元署の日系米国人女警官、鹿児島出身の殺人事件容疑者、偶然にも容疑者と同郷の通訳。 警官を宮澤エマさん、容疑者を迫田孝也さん、通役を柿澤勇人さんが演じている。 言語は、二つ。 日本語が解らない警官、英語が解らない容疑者、そして双方の言語が解る通訳。 真実は、一つ。 容疑者は、黒か?白か? 或いは、真実は白なんだけど実は黒? この後、福岡、宮城と公演は続くので、結末には触れないでおく。 舞台は、 Texas 州の幹線道路沿いにある diner 。 警官が、言葉の通じない容疑者を通訳を介しながら聴取していく。 その奇妙なやりとりが進む中、繰り広げられる三つ巴の心理戦を描く密室劇。 米国の Odessa と日本の鹿児島、Global だけど Local という設定がまた絶妙。 二つの言語と二つの文化が交錯する言葉の世界。 なにがどう面白いか? 伝えることが儘ならないけれど、確かに笑える。 膨大な台詞を巧みに回す三人の演者も凄いが、劇作家 三谷幸喜先生の着想も素晴らしい。 … 続きを読む

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