
忌明けの正月も三日がすぎて、新年の四日。
用意した御節料理もそろそろ尽きてきた。
我が家の祝膳。
口取り・焼き物・酢の物などは料理屋に注文する。
今年は、東門街で営む人気の Bistro “ HEEK ” にお願いした。
毎年決まった店屋というわけでなく、年によっては中華料理屋だったりもする。
ただ他はそれで良いのだが、大好物の煮〆だけは他人任せというわけにはいかない。
僕的には、煮〆さえあれば正月を迎えられるというほどだ。
筑前煮みたいな柔らかな食感は駄目で、充分な歯応えが欲しい。
箸上げがしづらいくらいに、ごろっと大きく。
具材それぞれの味が活きるように、できるだけ煮出しは薄味で。
蓮根・里芋・筍・椎茸・人参・蒟蒻・牛蒡の七種を、別々に煮る。
毎年、厨に立つ嫁にしてみれば。
“ じゃぁ、あんたが作ってみろよ!” となるのだが、機嫌を取りつつなんとかありついている。
そして、我が家の祝膳にはもうひとつ他家にはない決まり事があって。
それは、膳のどこかに偽りの一皿を仕込む事。
蟹のように見える蟹蒲鉾的な感じと思ってもらえれば良い。
嫁、渾身の Marine de saumon 。

これのどこが偽りなのか?
Caviar に見立てた “ とんぶり ” かと思うかもしれないけれど違います。
これは、正真正銘の蝶鮫の卵です。
偽りは、そもそも Marine de saumon ではなくて、ただの Tomato というのが正解。
正月早々、くだらない!
しかし、恒例のくだらない一皿を毎年楽しみにしている酔狂なひともいてこうして続いている。
画像を見た甥が訊いてきた。
「おじちゃん、これって偽りなんだろうけど旨いの?」
旨いわけないだろう!ただの Tomato の味で、それ以上でもそれ以下でもない。
で、これは、偽りのない本物。

元日に訪ねてきてくださったお客さんのお年賀。
牛腿肉の Roast Beef 。
明治期創業、神戸で知られた名店 “ 大井肉店 ” の逸品。
Roast Beef ってこんな旨かったかなぁ?
あたりまえだけど、やはり本物は違う。
おかげさまで、穏やかで食に恵まれた正月を迎えられました。感謝です。


