よほどの雨でも降らない限り傘はささない。
梅雨時。
いくらなんでも、今日は傘を持っていけと言われて持って出て。
無事に持ち帰ることは、自慢じゃないが稀だ。
どこかに忘れるか、似ても似つかない別の傘を手にして帰るか。
どうして、いつもそうなのか?馬鹿なの?と訊かれても。
習性だとしか答えられない。
そうやって、長年この歳になるまで傘と縁のない生活を続けている。
じゃぁ、西欧人みたく濡れても気にならないのか?というと、それはそこそこ気になる。
だから、この時期 Gore Tex Parka は必須アイテムとして欠かせない。
雨が降れば、どんな場所にでも着ていく。
先日も、北新地のママさんに。
「ちょっとぉ!何してんの!あんた!裏にまわって!」
黒色の Parka をフードまですっぽり頭から被った姿で扉を開けた途端、そう叫ばれた。
どうやら、配達業者だと思ったらしい。
ちぇっ!この Parka 一着で、 てめぇんとこの客が羽織ってる背広三着は買えるんだけど。
せっかく気を使って、数ある Parka から選んで着てきてやったのに、この仕打ちかよ!
でも、まぁ、ママさんの言分の方が正しい。
洗面所で鏡の前に立つと、配達業者でも上等なくらいで、もう盗人の域だ。
お絞りを手に、おろおろしてるママさんが。
「このジャケット格好良いやん、わたしもこんなん欲しいわぁ」
「嘘つけ!遅せぇわ!」
「それより、なんか運ぶもんあったら言いつけてよ、俺、業者だから!」
しかし、どんなに世間受けが悪くとも、この雨装束を改めるつもりは毛頭ない。
さらに進化させていこうと思う。
喩えば、この靴。
Authentic Shoe & Co. の竹ヶ原君から送られてきた靴で、新作らしい。
Solid Kicks no.6 という名のスニーカーで、とても気に入ってる。
古典的意匠への敬愛と、凡庸であることへの反骨が、竹ヶ原敏之介の源泉だと思う。
スニーカーとしての原型に、軍靴の仕様を取込み、最新機能を付加させた異形の作品。
異形だからといって、履き心地や着脱具合は、微塵も欠いてはいない。
むしろ、向上していると言って良い。
一流の靴職人がスニーカーなんて!と考える靴マニアのひとも少なくないだろう。
正直、僕もそのひとりだったけれど。
このスニーカーには、そうは言わせない奇妙な説得力があるように感じる。
竹ヶ原敏之介の流儀が漂う一足で、安易な再構築とは一線を画した靴じゃないかと想う。
素直さの欠けらもない歪んだ思考と仕事ぶりは、相変わらずだけど。
そして、このスニーカー。
全天候型で、雨天でも平気なのだそうだ。
鬱陶しい梅雨が続く日々。
Gore Tex Parka の足元には、Solid Kicks no.6 を。