三百五十三話 難解な Beach Bag

糞寒い最中に恐縮ですが。
Beach Bag です。
というか、Beach Bag みたいな Tote Bag です。
これは、Retro なのか?
それとも、Future なのか?
坂を下った海辺に、こんな女性の姿が見られた時代。

手にしていたのは、塩化ビニールで創られた透明なバックだった。
当時、最新の素材で、流行のビーチ・ファッション・アイテムだったんだろう。
そんなアイテムを、二◯一五年春夏コレクションに取込んだブランドがある。
井野将之君がデザインする “ doublet ” だ。
たしか今期のテーマは「 陸サーファー 」だとか言ってたような気がする。
陸サーファーって?
うわっつらだけのサーファーを揶揄する言葉で、僕らが学生の頃に生まれた。
まだ、井野君とか産まれてなかったんじゃないかなぁ。
海辺での Beach Bag と 都会での Leather Bag という相反するバックを合体させることで、
うわっつら感を表現しているらしい。
しかし、このバックには、その見掛けからは想像もつかない面倒な手法が用いられている。
剥いだ山羊革の端部分をそのままの形状で使用していて、人為的な裁断は施されていない。
なので、革部分の形状はひとつひとつ異なる。
かたちの定まっていない革を、どうやって塩化ビニール生地にボンディングするのか?
接着溶剤を全面に敷けば、革を圧着させていない透明部分に溶剤が残留してしまう。
これは、どないなっとんねん?
僕は、ちょっと考えて解らないことは、それ以上考えないことを信条としている。
だから、どうなっているのかは説明出来ない。
ただ、こうやって商品化されているのだから、それなりの手法があるのだろう。
しかも、この Tote Bag は、Musee du Dragon でしか手に入らないらしい。
それはそれで、なんでやねん?
なにかと、意味不明なアイテムですが別色もあります。

意外と軽量で、使い勝手もよく計算された優れたバックです。

あまり難しく考えずお試しください。

  

カテゴリー:   パーマリンク