五百四十九話 梅雨

暇で、閑で、どうにもならんわぁ!
梅雨の長雨に、感染の第二波。
裏手に在る中学校の教員から生徒へと広がり、もう大騒ぎ。
先生に悪気があってのわけじゃないけれど、父兄の方々にとってはそうもいかないだろう。
“ なにやってくれとんじゃ! ” と、なってしまうんだろうな。
気の毒に。
見えない敵も怖いけど、見える世間はもっと怖い。
従姉妹にも言われた。
“ あんた達、用もないのに街中をうろつくんじゃないよ! ご近所に迷惑かけるんだから!”
“ はぁ?”
やんちゃな従姉妹が、いつのまにか良いひとになってしまっている。
こうして、この国独自の相互監視網が、しっかりとした足取りで形成されていく。
怖っ!
そんな事情で、外出も憚られ、豪雨で庭にすら出れず、ウジウジと家に居る。

元気なのは、庭に咲く紫陽花の葉を食らう蝸牛だけ。

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