五百二十五話 千住博 と teamLab ★

水都 “ 大阪 ” には、たくさんの川が流れている。
そのうちのひとつ堂島川の畔に建てられた “ 堂島リバーフォーラム ”
つい最近の施設のように思っていたけど、もう一〇年にもなるのだそうだ。
節目に、「水」をテーマにしたアート・イベントが催されるらしい。
手掛けたのは、日本画家 千住博と猪子寿之率いる teamLab★
どちらも、美術界の今を語るうえで欠かせない存在だろう。
Black Wave : Wander , Discover and Re-emerge
千住博筆の波が連綿と逆巻く様子が、壁一面に投影されている。
TECHNOLOGY と CREATIVE の境目は、どんどん曖昧になって、終いには消失する。
そう頭では、なんとなく理解できても感覚がついていかない。
この作品にしてもがそうだ。
波の挙動法則を、コンピューター内の三次元空間で模擬。
波自体を構成する粒子同士は相互に作用しながら、二次元の壁面上に平面化し投影される。
このわかったような、わからないような工程上の理屈が、純粋な鑑賞行為を妨げてしまう。
これが、千住画伯の作品原画だとそうはならないのだろうけれど。
やはり、どうもどこか馴染めない。
あたまと感覚が錆びついているからだと言われてしまえば、間違いなくそうだ。
ただ、興味深く感じたこともあった。
波は、壁面だけではなく、鑑賞者の衣服にも投影される。
白い服のひとは、壁面と同じく波が映され、黒い服のひとは、黒いシルエットが壁面に。
作品の内にあって、鑑賞というよりは、体感に近い不思議な同化現象を味わえる。
一般的には、他者は作品を鑑賞するうえで邪魔者でしかない。
その邪魔者を肯定的な存在として捉え、作品として取り込んでいく。
teamLab★ らしいアプローチで、これは面白い。
それにしても、TECHNOLOGY とCREATIVE の境目かぁ?

なんか、ちょっと置き去りにされたような気分もする。

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