五百十七話 偉業

改めて観たけど、なんど観ても言葉が出ない。
本作が、高畑勲監督最後の作品となった。

“ かぐや姫の物語 “

躍動する背景。
動く絵画。
これが、ANIMATION の原点であり終点なのだと思う。
日本の美とはなにか?
日本人にとっての徳とはなにか?
高畑勲監督は、その問いかけを一筆一筆に込められたように想う。
一九八一年劇場公開された作品では、大阪市西成区西萩町が舞台となった。
“ じゃりん子チエ ”
浪速の下町に漂う独特の空気感を見事に描かれた。
常識から逸脱した社会性や道徳性を真正面から受け止め、これはこれで良いと肯定される。
あの赤塚不二夫先生にしても高畑勲監督にしても。
ほんとうのインテリとは、こうした方々のことをいうのだと今でも敬愛している。
数々の名作を遺して逝かれた。
構想されていた ” 平家物語 ” は、幻となってしまったけれど。
これはもう偉業と称えるほかない。
ありがとうございました。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

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