四百八十二話 T-Shirts に良いも悪いもあるのか?

それは、あります。
つうか、TーShirts にこそあります。
着心地は心地良いか?
体型に合うのか?
色はどうか?
など、あれやこれやの我儘を言いだすとキリがない。
挙句に、洗濯し倒しても当初の良さを保てるか?まで求めるといよいよ見つからない。
さらに、それが半袖じゃなくて、長袖の無地だとなるとお手上げだ。
が、そこは餅は餅屋なので。
あちこち探して、納得のいく一枚をようやくのこと見つけた。
The Elder Statesman
Statesman という無駄に上昇志向の名が癪に障ったけどこの際それは我慢する。
Creg Chait というカナダ生まれの米国人がデザイナーらしい。
そもそもカシミヤ専門のニット・メーカーなのだが、数点綿 T-Shirts も創っている。
原料は全て自身の目で確認して買付け、Los Angeles の工房では糸を撚ることから始めるのだそうだ。
見た目は、ちょっと色が褪せたただの無地 T-Shirts に過ぎない。
別段これといった高級感もない。
首裏のブランドを示すネームすら付けられていない。
あまりにもふざけているので、逆に気になって手にとってみる。
なんだぁ?この T-Shirts ?
綿製品とは思えない柔らかな風合い、適度な膨らみと滑りの良さが手触りから伝わってくる。
Sun Bleached と記されてあるが、天日干しだけでこうはならないだろう。
試しに着てみた。
肩幅は広く、身幅は緩く、袖は細くて長く手首あたりで溜まるように設定されてあって。
体型にもよるだろうけれど、よく練られた絶妙の型に仕上げられている。
これは、もう買うしかない。
それも、三色とも色違いで大人買いしてやろうかと考えたが、値札を見て大人になるのをやめた。
まぁ、そりゃぁそうなんだろうけれど、俺 Malibu の別荘地の住人じゃねぇし。
大人しくピンクだけ買って帰ろう。
それにしも、この風合いは見事だ。
勘定を済ませながら、店屋のおにいちゃんにそのことについて訊いてみた。
「それは、お客様、The Elder Statesman ですから」
「なるほど、それはそうだよね」

訊いた俺が馬鹿なの?

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