四百二十話 姓は車、名は寅次郎

顧客の皆様。
Musée du Dragon が幕を閉じるって聞いて。
どういうつもりなんだ?とか。
これから何処へ行けばいいんだ?とか。
やめないでくれとか。
いろいろと有難いお言葉を頂戴しておりますが。
皆様、よ〜く胸に手を当ててお考えください。
あぁ、これで Musée du Dragon で大枚を叩かずに済むとか思ってらっしゃいませんか?
心の片隅どころか、ど真中でそんな安堵の気持が芽生えていませんか?
どうですか?
縁起でも無いことを申し上げますけど油断は禁物ですよ。
世の中なにが起こるか知れたもんじゃありません。
実は、僕、昔っから旅烏の如き的屋商売に憧れていまして。
車寅次郎みたいな。
そういう者になりたいという願望が、今でもあるんです。
北は小樽から南は博多まで、お客様の居られるところならどこへでも。
想像してみてください。
或る日突然、一杯に服を詰め込んだ鞄を下げた僕が門の前に立ってるんです。
「こんちわぁ!毎度ですぅ!」
怖いでしょ?
まんざら、無い話でもないですよ。
その節は、ひとつ宜しくお願いいたします。
みなさんが僕を忘れても、僕はみなさんを忘れませんから。

ということで、本年もご愛顧戴きまして有難うございました。
心より御礼申し上げます。
迎えられる年が、顧客様にとってより良き年となりますように。

 

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