顧客様に数学者の方がおられて。
箱根での学会の帰りにお立寄り下さり御土産にとこれを頂戴した。
「えっ？行かれたのって箱根ですよね？」
「ってことは箱根土産ですよね？」
たまたま御来店されていた別の顧客様が答えて下さる。
「第参新東京市は箱根町仙谷原にあったんだよ」
「あっ！そこかぁ！」
“あった”と過去形なのは、新劇場版「破」での結末を受けてのことである。
第一◯使徒の攻撃により壊滅状態となった第三新東京市は、3rd IMPACT の爆心地となった後破棄された。
この話を聞いて訳がわからないという方もおられると思う。
日本第三世代アニメーションの金字塔 “ EVANGELION ” について語っているのだが。
こればかりは解説しなくても分かるひとには分かるし、解説しても分からないひとには分からない。
それにしても、この菓子は笑かしてくれる。
商品名はというと。
“ 第三新東京市に行ってきましたベイクドクッキー ”
な〜にも考えていない、な〜んのひねりもない、そのままである。
公認については。
Gainax Co.,Ltd でも Khara inc. でもなく“ ネルフ公認土産 ”とある。
ネルフとは、特務機関 NERV のことで使徒迎撃専用要塞都市として第三新東京市建設を目論んだ組織である。
そして、箱根限定らしい。
とんだオタク菓子である。
箱根を訪れる観光客や湯治客の何割がこの菓子を理解できるのだろうか？
いや、“ EVANGELION ” を侮ってはいけない。
富士山や、箱根十七湯や、美術館などは、もはや箱根の魅力としては二次的なものに過ぎないのかもしれない。
近い将来。
「何処行ってきたの？」
「箱根」
「ふ〜ん、箱根って何処？」
「第三新東京市だよ」
「えっ？マジでぇ！凄えなぁ」
こんなやりとりが現実に交わされるんだろう。
さらに、彫刻の森美術館を訪れると。
Auguste Rodin の Balzac 像の傍には、EVA 零号機が聳え立ち、案内音声では林原めぐみさんの声が流れる。
そんな EVANGELION の聖地と化した箱根が出現するかも。
現在も箱根山の火山活動によって観光客の減少傾向が続いていると聞く。
おそらく厳しい商い環境のなか箱根の皆さんも奮闘されているのだと思う。
碇シンジ君、今こそ箱根を第三新東京市を救え！
