三百九十話 ゴジラの里帰り

年が明けて二◯一六年、一二年ぶりにゴジラが日本に帰ってくる。
二◯一六年新作 “ ゴジラ ”
本作が、日本特撮映画最後の砦となるような気がする。
映画製作に於いて、米国の巨大資本と対抗しようなんてあまりにも無謀としか言いようがない。
製作費も、製作時間も、比ぶべくもない。
爆撃機に竹槍で挑んだ七◯年前の出来事を思わせる。
それでも、僕はこの作品に最大の敬意を込めて期待している。
どんな始末に終わろうとも、どんなものを観せられたとしても、文句は言わないと決めている。
脚本・総監督を庵野秀明氏が、監督・特技監督を樋口真嗣氏が務められる。
このおふたりで駄目なら、日本の空想特撮映画はもうお終いだろうと思う。
だったら諦めもつこうというもんだ。
一九六◯年代に産まれ、特撮に出逢い夢中になって過ごした最後の世代が挑んでくれる。
もうそれだけで充分なのである。
封切りの日は、下ろし立てのパンツに履き替えて、心して劇場に向かいますよ。
ところで、この写真は特撮のワン・シーンではありません。
Musée du Dragon の “ Crocodile Coin Case ” です。
上質の Baby Crocodile 革を素材としています。
材料が入手出来たので、また取扱いを再開することにしました。
たかが Coin Case なのですが。
こんなものでも、ちゃんと納得のいく出来に仕上げようとすると手間が懸かってしまいます。
この国のもの創りの環境は、日に日に厳しくなっているというのが現状です。

特撮でもなんでも、ひとの手で創る仕事の未来は決して明るくない。

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