二十五話 incarnation ✕ Musée du Dragon

これは、Prosciutto(生ハム)ではありません。
生ハムの国、イタリアから届いたバックです。
Musée du Dragon の十五周年用として、フィレンツェ在住のデザイナーが作ってくれた。
小川慶太氏、incarnation という自身のブランドを持つ。
数年前まで、片山さんの BACKLASH に在籍していた。
⎡今度、慶太がうちを退職して、イタリアで仕事をする事になったんですよ。⎦と片山さんから聞いた。
⎡苦労するんじゃないかなぁ。⎦と案じたのを憶えている。
僕も二十代の終わりから、三十代の始めにかけて五年間ほど、
Roma の北にある Viterbo という村の仕立工場に通った事がある。
イタリア人というと、陽気で女好きという印象を持たれる人も多いと思う。
大間違いである。
イタリア、特に北部の人間は、哲学的で禁欲的な生き方を心がける。
職人の世界でも、徒弟制度は厳格に守られている。
ものづくりには適した土地ではあるが、その分苦労も多い。
今年の正月明けにパリで小川君に会った。
地元の人に良くしてもらって、仕事も順調と聞く。
奥さんも現地の生活に慣れ、暮らし易いと言っておられた。
出張や駐在とは訳が違う、個人が、外地で職を得て、暮らしを立てるのだ。
あの気難しい連中に受け入れられるからには、真面目で誠実でなければならない。
偉い人達だと感心した。
感心ついでに、十五周年のバック製作について相談する。
店舗の構成上の都合から、現在、incarnation とは取引はない。
にも係わらず、小川君が言う。
⎡十五周年おめでとうございます。僕で良ければやりますよ。⎦
有り難かった。
心苦しいとは思ったが、実のところ簡単に作れる代物ではなかった。
それが、このバック。
小型で、肩がけでも腰巻きでも使える。
最大の魅力は、使用されている革にある。
伊の名門タンナー、“ Conceria Guidi E Rosellini ”に依頼してもらった特別皮革。
良いものに仕上げて戴いた。
小川慶太さん、ありがとうございました。
バックの詳細は、ホーム・ページの news に載せてありますのでご覧下さい。

ところで、FIRENZE は食の都でもある。
Crostini di fegato レバー・ペーストを塗ったトスカーナ・パンが前菜、
続いてPappardelle sulla lepre 豆とトマトの短い唐辛子パスタ、
メインに Arista 豚肉のロースト、
Castagnaccio 栗のケーキで締める。
TOSCANA 料理の妄想大人食い。
行くなら秋の終わりかぁ。

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