三十五話 奔放な食生活。

ちょうど一週間前になる。
二〇一一年 九月二日 午後九時三十分。
天候、大型台風 “ TALAS ”により大荒れ。
只今をもって、⎡HOME ALONE SHIFT ⎦解除。
そして、嫁、復活。
⎡ちゃんと食べてたぁ?⎦と訊かれる。
⎡うん、まぁね。⎦
あらゆる証拠は隠滅してある。
ゴミの類は、毎朝、駅のゴミ箱に捨てた。
ここで、この間の晩飯を振り返ってみる。
一日目、カレー味の鏡餅。( 内容は、三十二話で。)
二日目、鰻。
三日目、天麩羅。
四日目、寿司。
五日目、改良版カレー。
みたいな。
やっぱり、初日の躓きが痛かったなぁ。
それにしても、完全にオヤジ丸出しの芸の無い献立である。
浅草辺りに行くと、洋食屋、鰻屋、天麩羅屋、寿司屋が、順繰りに軒を連ねている。
通うのは、正真正銘、昭和産の天然ヴィンテージ・オヤジだ。
思考範囲が狭く、硬直化した脳味噌が思いつく食物は限られている。
⎡何か好きな食べ物を。⎦と問われるとここらに行き着く。
後は、蕎麦か饂飩ぐらいだろう。
まぁ、良い。
この奔放な食生活も今日で終わりだから。
そこで、復活した嫁が言う。
⎡今日、カレーで良いよねぇ。好きなんでしょ。⎦
⎡えっ、マジですか?⎦

終わりじゃなかった。

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