百六十一話 新しい年の始めに “ fiction ” より登場です。

明けましておめでとうございます。

今年も Musée du Dragon を宜しくお願い申上げます。
この馬鹿 blog にも引続きお付合い下さいますようお願いいたします。
ところで、見かけないいきものがお目見えしておりますが。
ちょっと御紹介させていただきたいと存じます。
まず体長は、
通常八十センチ位と小柄ですが頼めば用途に応じて十メートル位に大きくなってくれます。
三度三度餌を与えてもらっていると機嫌が良く問題ありません。
ただ、腹をすかしたり機嫌を著しく損なうと手に負えないくらい巨大化します。
こうなるとかなり危険です。
最悪の場合には、homepage の冒頭に描いた絵のようになります。
こいつは、火を吐いたり背中が光ったりもしません。
背中に翼を備えており昔は翼竜のように大空を自在に飛んでいましたが、
食過ぎで胴体が大きくなり過ぎ、今では翼が退化し陸の暮しにすっかり馴染んでいます。
機嫌が良い時には、はばたいて三十センチほど浮上がりますがそれ以上高くは無理です。
移動はもっぱら歩きで滅多に走りません。
吠えることもあまりありませんが、ブツブツ文句を言う時があります。
その際には内容によく耳を傾けて下さい。
無視すると巨大化します。
基本いうことは一切ききません。
餌を与えてくれる人には自発的に手助けをしますが、命令してはいけません。
命令されると機嫌が悪くなり巨大化します。
知能はさほど高くありませんが、一人前に悩んだ振りをする事があります。
気分の問題なので放置願います。
下手にかまうと巨大化しますのでご注意下さい。
文句がある場合と悩んだ振りをしている場合とは良く似ていますが、対処方法がまるで異なります。
よく見極めてから接するように心がけて下さい。
でないと巨大化を招き危険です。
通常放し飼いで大丈夫ですが、尻尾を上向きに立てた場合には用心しなければなりません。
生殖器官より雄に分別されますが、近くに若い牝がいると姿が見えなくても臭いで嗅ぎつけます。
探し出してどこまでもついていこうとしますので、強度のある鎖で繫ぐ必要があります。
著しく方向感覚が劣っていますので戻ってきません。
また、同種族の牝だけでなく人間の女性も含まれます。
ただし、おばちゃんには興味を示しませんし近寄りもしません。
というか、体長を十センチ以下に縮めて姿を隠し棚の隅などに身を潜め出てきません。
尚、鎖で繋いだ場合一時的に不機嫌になりますが、
牝に神経を集中しているので僅かに身体を膨らませるだけで巨大化には至りません。
同族の牝または若い女性の迷惑にもなりますので躊躇無く拘束することをお勧めします。
今のところ解明されている生態はこんなところですが、まだまだ謎の多いいきものです。
面倒臭い奴ですが飼うとそれなりになつき可愛くもあります。
飼育には多大な忍耐と費用を要するので相応の覚悟は必要ですが。
そして、こいつが Musée du Dragon の新しい icon です。
実は、十五周年を迎えた二〇一一年に登場予定だったのですが、なかなか描けず今となりました。
これから、いろんな場面でお目にかかると思います。
Musée du Dragon 同様ご贔屓に預かりますよう宜しくお願い申し上げる次第にございます。
新年早々、馬鹿噺で申訳ございませんでした。
では、今年一年が皆様にとって良き年となりますように願いつつ始めさせて戴きます。
追記:拙い絵ではありますが、偉大な画家で版画家で数学者であった Albrecht Dürer 氏に捧げます。

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