百六十三話 七草粥

雑煮に粥にと、とても服屋の blog とも思えない次第ですが辛抱願います。
一月七日 “ 人日の節句 ” に嫁が言う。
⎡今日の晩御飯は七草粥だからね⎦
⎡え〜ぇ、それって朝に喰うもんじゃないのぉ?⎦
⎡晩飯に雑草ってキツくない?⎦
⎡うるさい!朝からそんなもん作ってる暇がどこにあんのよ!⎦
⎡だいたい正月から肉ばっか喰って、また無駄にブクブク肥えるんじゃないのぉ?⎦
⎡…………………………。⎦
まぁ、機嫌が悪そうなんで口には出さないけど。
そんなもんって言うくらいならスルーしても良さそうな行事食だろう。
無病息災って言うけど、栄養不足で逆に具合が悪くなりそうだ。
こんな雑草を、鉢一杯喰ったところで栄養の欠片もない。
七草粥は、春の七草や餅などを具にした塩味の粥で、その年の無病息災を願って食する。
前日の夜に用意される⎡七草⎦は、地方によって顔ぶれが異なる。
我家のラインナップは以下のとおりだ。
セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロである。
最後のふたつスズナ・スズシロ以外は全て庭に生えている。
喰物としては、このうえなく情けない面々である。
この草を包丁の背で叩いて刻む。
七草なずな 唐土の鳥が 日本の国に 渡らぬ先に ストトントン
と七草囃子を謳いながら刻むらしい。
意味は諸説あるようだが素直に解釈すると、
大陸から渡り鳥によって運ばれる疫病の蔓延を封じるよう願った歌のように思う。
今風に言えば、鳥インフルエンザ に気をつけましょうみたいなもんだろう。
いづれにしても、気乗りのしない冴えない行事だ。
あ〜、腹減った、もう寝よ。

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