百六十四話 なんなんっすか?

以前ある著名デザイナーが Musée du Dragon にやって来た。
パリ・コレクションの常連で。
英国籍のトルコ系キプロス人で。
坊主頭で。
あ〜ぁ、面倒臭い。
Hussein Chalayan です。
⎡Any garments are strange and little bit expensive.⎦
⎡はぁ?テメェの服より変ってねぇし、高くもねぇよ⎦
⎡Am I known?⎦
⎡一応同業だし、アンタ有名だから⎦
仮にも世界的スター・プレーヤーなので、身体的特徴には触れなかった。
値段の高い安いをキプロス人に言われたくないし、
奇妙奇天烈で名を馳せるデザイナーに変ってると言われたくもない。
言われたくもないのだが、今回のこれはさすがにどうなんだろう?
カーディガンの下にフードパーカーが繋がっている。
上は釦仕様で、下はファスナー仕様。
挙句に上はカット&ソーイングで、下は布帛。
って、これ何のアイテムで、どうやって着るのぉ?
無茶をやってるのは 08 Sircus の森下公則氏で今期のコレクション品です。
坊主頭と同じくパリ・コレクションのランウェイを務めた森下氏の名誉のために言っておきます。
ちゃんとした服にトランスフォームします。

こんな具合に。
そして、ただ気をてらっただけの仕様ではありません。
圧倒的な軽量さに加えて絶妙のボリューム感。
この独特のストレスフリーな着心地が 08 sircus の真骨頂でもあります。
よくもまぁ、こんな地味なアイテムをここまで思考できるもんである。
また、縫製場もこんなダダ長いもんを発注指示されて堪ったもんじゃなかっただろう。
多分、言ったと思う。
いったいこれ、なんなんっすか?

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