二百六十八話 ANSNAM 発、謎の facebook ?

前回、二百六十七話からの続きです。
ANSNAM の facebook なるものを初めて読んだ。
こんな洒落た書出しで始まっている。
“  二回目にして、早くもしんどいです。”
“ その制作時に起こった様々な事柄への感情や、行間のニュアンスが伝わらないからです。”
感情? 行間? はぁ?
中野靖の日々揺れ動く感情を、行間の細部までぇ?
知りたくない、知りたくない、全然知りたくない。
知りたいのは、もっと肝心な事柄で、あなたの心の闇じゃありませんから。
心の機微が綴られた、謎の facebook にも登場していたのが、この TROUSER 。
前回、冬にまさかの白と言ったが、さすがに灰色もございます。
って事で、ちょっとご紹介いたします。
未精錬の絹糸の風合を損ねないように、染色を施さずに生成りで織る。
なのに、何故 、灰色なのか?
経糸には、前回お話した未精錬の絹糸をたてる。
緯糸には、その絹糸二本とポッサム一本を通す。
ポッサム?
韓国料理の “ 茹で豚肉 ” かと思ったら、どうやらそういう生きものがいるのだそうだ。
ちょっと調べてみると。
英名では、 Possum で、和名では、袋狐と呼ばれているみたいだ。
体長 三五センチから五五センチの樹上動物で、オーストラリア辺りに棲んでいるという。
見た目は、尾っぽの太い肥えた鼠みたいな奴だ。
全身を、灰色の毛で覆っている。
受売りの小ネタを披露すると、“ 狸寝入り” を英語で表現すると “ play possum ” となる。
どうでもいいけど、濃い灰色の正体は、コイツの毛らしい。
このポッサムの毛は、不思議な代物で、獣毛としては唯一の中空繊維なのだと聞く。
中空だから、とても軽い。
未精錬の絹糸と、ポッサムなる獣毛で、話は充分なのだが。
中野靖の服創りの闇は、さらに深い。
製品洗いによる獣毛の毛羽立ちを解消するため、樹脂加工を表面に施す。
謎は、その施し方にある。
服を縫上げた後、樹脂を不均一に塗る。
不均一とは、作為的に、塗るところ、塗らないところを設けるという事で。
手作業で行うことになる。
理由は、毛羽の浮き沈みが、微妙な陰翳を生むからとか。
アンタは、絵師か?
⎡中野君も、ここまできたらアーティストだね⎦
もちろん、嫌味のつもりで言ったんだけど。
⎡何言ってんですかぁ、僕は、アーティストじゃなくてデザイナーですよ⎦
⎡もう人生、チャラチャラなんだから⎦
この話の伝わらなさと、消化しきれない怒りを、どう処理したものか!
どうして、僕のまわりには、こんな変態しかいないのか?
あぁ、もっとまともな人と話がしてみたい。
facebook とかやったら、知合えるのかなぁ?

そうしたら、一番最初にイイネとかいう奴、この中野靖だったりして。
 

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