二百十七話 今、 JEANS はどうあるべきか?

意外と考え始めると難しいのが  JEANS なのだ。
Vintage 製品を基にした能書満載の “ OTAKU JEANS ”
Night Walker 御用達オミズ仕様の “ PREMIUM JEANS ”
とにかく安いが値打ちもそれなりの “ FAST JEANS ”
市場には、隙間なくあらゆる JEANS が溢れている。
なにが新しくて、この時流の中で、今、 JEANS はどうあるべきなのか?
僕なりにというか、Musée du Dragon 的に考えてみた。
現状では、JEANS が装いの主役となる環境にはない。
そもそもの話。
それなりの JEANS さえ履いていれば、どんな格好でも安心という中学生的発想がつまらない。
なので、強く主張する凝ったつくりの JEANS は必要としないし、かえって使いづらい。
そこで、いままで積上げてきた加工技術の数々を一旦封印する。
ダメージ加工、修復タタキ加工、汚し加工、ボール加工、形態安定皺加工等、ぜ〜んぶいらない。
加工は、ハンド・ブラストのみを施す。
その目的に於いても。
リアルな着用感を再現するためだけでなく、程良く洗い晒した清潔なブルーの色感を狙う。
そして、加工よりも肝心なのは型である。
今回は、13.5 oz Selvedge Denim 生地を使用する。
力織機で織られた生地の耳端を残しながら、ぎりぎりの Slim Tapered 型に仕立てなければならない。
太くても、逆に細すぎても、汎用性を欠く。
裾は、巷で流行の短め仕上げではなく、相当量たぶらせて裾先を二センチほど折り曲げる。
まぁ、全体的に JEANS というよりは TROUSER の発想に近いかもしれない。
とにかく、型の洗練度と色の清潔感が全てだと思う。
⎡奇はてらってないけど、この普通感が良いよね⎦
第一印象としては、こう評価して貰える JEANS を目指したい。
企画は、Musée du Dragon。
デザインを、MIHARA YASUHIRO から独立し、この春 doublet を始動させた 井野将之。
型設計には、元 kiminori morishita のパタンナー 村上高士。
尻には、トレード・マークにもなっている超デカのパッチが据えられている。
“ 普通なようで、普通でない ”
Musée du Dragon × doublet NEW SPECIAL DENIM PANTS

どうです?これが、今仕様の JEANS だと思うんですけど。

カテゴリー:   パーマリンク