四百七十六話 Money ?

米国に糞な大統領が誕生するというので、米国だけでなく世界中の経済環境が不透明らしい。
これを機に、今までの運用内容を見直すべきだ。
そんなはなしもあって。
海辺の家に、株屋のおねぇちゃんがやって来た。
美人で、頭の切れも良く、淀みなく端的に物事を伝える。
やっぱり金融屋はこうでなくてはいけない。
騙し騙されの銭の世界に、おっさんは無用だというのが僕の信条で。
そもそも損を喰らった時の印象が違う。
あぁ、あのおねぇちゃんにはやられたなぁ。
というある種の爽快感と、結果とは別の達成感が、おっさんからは得られない。
なので、この日は気分良くはなしが聞けた。
聞けたけれど、それでなにかが見通せたのかというと結局なにも解らないままに終わる。
そもそもに於いて、世界の誰にも解らない予見を訊こうとする方が間違いだ。
にしても、この Trump とかいう猿の親方みたいな爺いは面白い。
強気なんだか?弱気なんだか?
自国製品を強権的に保護しようなんて政策は、弱腰に他ならない。
保護されて蘇った産業など過去にあっただろうか?
ものが売れない原因のほとんどは、売る側にある。
為替や課税政策をどう繕ったところで、売れないものは売れない。
日米の軋轢を振り返ってみても。
一九七〇年代の繊維製品、一九八〇年代の自動車、それ以降もみんなそうだったと思うけど。
売れないものを造っている会社に雇用創出は望めないだろう。
加えて、輸入関税を嵩上げするとその分物価は上昇する。
雇用は低迷し、所得は増えず、物価は高騰するという負のシナリオも描けなくはない気もする。
そこらへんを、この偉そうなお猿さんはどう考えてるんだろうか?
お猿さんがどうなろうと、米国が何処へ向かおうと、知ったことではないが。
僕の懐が寂しくなるのだけは勘弁してほしい。
いづれにしても、この騒動で、誰かが儲けて、誰かが損をすることだけは確かだ。
Money ?
英国の喜劇役者が面白いことを言っていた。
Money is always there,  but the pockets change.

銭はいつだってある。 ただポケットが変わるだけ。

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