二百八十四話 袖の短いシャツって、どうなの?

「袖の短いシャツって、どうなの?」
時々、そう訊かれる。
確かに、妙に子供臭くなったり、逆にオッサン臭かったりする場合もないとはいえない。
服屋としては、正直避けて通りたい服種である。
Musée du Dragon でも、当初扱わない時代があった。
しかし、店屋の都合はさておき、ここ数年の夏の暑さは、尋常ではない。
ってことで、この夏、自信をもってお勧めできる半袖シャツを集めてみた。
その中の一枚が、これ。
JOINTRUST 藤田将之君が、デザインした。
ベースボール・シャツと開衿シャツが合体したような仕様で、独特のレイヤード感が漂う。
UNDERCOVER で、仕事をしてきたデザイナーらしいといえばらしいのだが。
奇抜な発想を、無理なく、無駄なく、あたかもこんな服があったかのように自然にこなしている。
張りのある高密度綿布から生まれるシワ感も良い。
そして、随所に見られるパイピングは、とても綺麗に施されてある。
とにかく細かい運針で、丁重に縫われているが、それでいて着用時の硬さは感じられない。
正直、上手いなぁと思う。
中には開衿仕様に抵抗があるという方もおられるだろうけど。
Retro – future 的なこの感覚を、僕自身は気に入っています。
昔は、頑な長袖派だったけど、この歳になると、着心地さえ良ければなんだって着る。
そうすると、今まで避けて通ってきたアイテムの中にも、
意外と嵌って、手放せなくなったりするモノもあると気づく。

所詮、服の嗜好やこだわりなんて、そんなもんですよ。

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